N国党はまもなく地方議会選挙で得票率10%を超える

7月の参議院選挙で1議席獲得したN国党が連日マスコミを賑わしています。日本維新の会を除名された丸山議員を入党させる、無所属の渡辺喜美議員と会派を組むという賛否両論のことをしたかと思うと、今はマツコ・デラックスがテレビ番組でN国党候補者の政見放送を「気持ち悪い」、N国党に投票した人を「ふざけて投票したのでは」と発言したことに抗議し、反論の機会を与えるよう要求してテレビ局前に押しかけるという実力行使に出て、やり過ぎだとの批判も受けています。

これらの行為については、支持者が離れるとの意見もありますが、7月の参議院議員選挙での得票数は約152万票(選挙区)とまだ多くない為、支持者が離れることよりも注目され支持者が増加することのメリットが大きいと思われます。それにNHK受信料という不条理な制度がある限り、選挙になれば結局N国党に投票するしかありません。

N国党の立花代表は、本丸NHKともバトルを繰り広げています。受信契約の締結と上田会長との面談を求めて8月8日NHK本社に乗り込みましたが、警察を呼ぶ騒動となり10分で追い返されたとのことです。NHKとしては、国会議員と言えども、かって在職し解雇した社員で今は「NHKをぶっ壊す!」と主張している者と会長が面談するなどありえないということでしょう。NHKのこの姿勢は今後も変わらないと思われます。この訪問の際立花代表が「受信契約はするけれど受信料は払わない。法律上は受信契約の締結は義務だが支払いは義務とはなっていない。」と発言したことから、また新たな騒動が起きました。日本維新の会の松井代表(大阪市長)が「国会議員の受信料未払いをNHKが見て見ぬふりをするなら、大阪市もやめる。NHK会長が世間に向けてちゃんと言うべきだ。」と発言したことから、NHKはその夜ホームページに「明らかな違法行為などについては、放置することなく、厳しく対処してまいります。」と好戦的な声明を発表しました。しかし、国民の多くは、公共放送とは言えない実態でありながら、公共放送と言い張り、受信料をふんだくるNHKが悪いのに、この盗人猛々しい態度はなんだと反感を持ちました。

そういう中、政府は8月15日の閣議で、「NHKと受信契約を締結した者は、NHKに対し、受信契約に基づく受信料を支払う義務がある」とする答弁書を決定したということです。これに対してN国党の立花代表は「放送法に書いてあるのは契約締結義務であり、支払い義務は書かれていないのに、支払い義務もあるというのは司法権を犯すもの」と述べています。政府の答弁の主旨としは、契約締結義務があるということは当然対価の支払い義務もあるということだと思われます。立花議員は裁判になったら対価はNHKが定める受信料の8割(支払い率が約8割だから)と主張するということですが、政府としては受信料を定めたNHKの放送受信規約は総務省の承認を受けた約款的なものであり、個別の交渉で決めるものではないという考えでしょう。裁判でもそのようになることが予想されます。立花代表もこのことは予想していると考えられます。立花代表としては、裁判になることによってマスコミに取り上げられ、NHK受信料制度、ひいてはこれを定める放送法が不条理であることを国民に考えてもらう機会になればよいと考えていると思われます。

ネットなどを見ると、NHKは公共放送とは言えず必要性もないから、スクランブル放送に賛成という声が圧倒的です。加えて放送法を改正しない国会議員への批判が高まっています。今後は、放送法が改正されないのはNHKと国会議員が癒着しているからであるとして、国会議員の子弟や関係者がNHKに就職している状況など癒着の実体が暴かれていくと思われます。

こういう状況で2年以内には総選挙が行われますが、N国党の上杉幹事長は「289の小選挙区に候補者を立て政権交代を目指す」と発表しました。ここのポイントは、「政権を取る」ではなく「政権交代を目指す」という点です。N国党はNHK受信料問題の解決を唯一のテーマとする政党であり、政権奪取を目指した政党ではありません。当然そんな能力はありません。しかし、NHK受信料問題を解決して欲しいという要望は、国民の大多数のものであり、全国に多くの支持者がいます。次回の総選挙でN国党が小選挙区に候補を立てれば、当選するかどうかは別として10%以上の得票が期待できます。そうなると放送法を改正しようとしない自民党候補が大量に落選する可能性が高いのです。その結果、政権は野党に行くことになります。そのことは、今後たくさん行われる地方議会議員選挙でN国党候補が10%以上得票するケースが現れることによって分かってきます。

尚8月25日投開票の埼玉知事選挙は、事実上自民党系候補と野党系候補の一騎打ちですが、N国党も候補者を出しています。N国党候補が当選することは考えられませんが、自民党系候補および野党系候補のうちN国党に票が流れた候補が負けると思われます。8月15日に政府は受信料の支払いに関してNHKを支持する答弁書を決定していますので、自民党候補の票がN国党候補に流れ、野党候補の勝利となると予想します。このようにN国党は首長選の当落を左右する力を持ってきています。