1つの公約の党なら世の中変えられる
7月21日投開票の参議院議員選挙のトピックスは、れいわ新選組の2議席獲得とNHKから国民を守る党(N国党)の1議席獲得となっています。れいわ新選組は山本太郎代表の人気があって何かと話題となっていましたが、N国党についてはマスコミは殆ど取り上げませんでした。N国党をマスコミが取り上げなかったのは、意図的でもあります。それはテレビ局は殆どが大手新聞社の子会社であり、テレビや新聞社にとっては、NHKが改革され民放になっては困るので、わざと無視したのです。しかし、4月の統一地方選挙で26議席を獲得し少し知名度が上がっていたこともあり、7月の参議院議員選挙では1議席獲得し、政党要件までクリアしました。その結果、これからの選挙では諸派扱いではなく、N国党と表記されるようになります。
N国党は1議席獲得できたのは、NHK制度、とりわけ受信料に不満を持つ有権者が多いからです。公共放送と言いながら番組の8割以上は民間放送と変わらない内容です。国民みんなで公平に支える必要があると言いながら、高所得者と低所得者に同じ額を負担させるのは公平とは言えません。もちろん受信者が自らの意志で受信契約を結んでいるのなら別です。見る見ないに関わらず契約を強制しているわけですから、受信料の実体はNHK負担金と言う税金なのです。ならば、所得に応じて負担するのが当然なのです。このようにNHK制度は嘘で固められた制度であり、もうごまかしがきかなくなっているのです。N国党の出現は、このNHK制度、とりわれ受信料制度に不満を持つ有権者の不満の表明、歴史用語で言えば一揆なのです。
一揆は、不満のある制度の改廃のために結集しているので、目的が達成されたら解散する運命にあります。従って、N国党もスクランブル放送が実現したら当然解散となります。解散しなかったとしても次の選挙では誰も投票しないから党は消滅します。
受信料不払世帯は、受信対象世帯の約19%、約830万世帯あります。この有権者数は約1,250万人(1世帯1.5人と想定)です。また、受信料支払い者にカウントされているけれど、実は払ったり払わなかったりしている世帯が約1,500万世帯あると推定されます。この人たちも受信料に不満があるとするとこの有権者数は2,250万人となります。即ち、受信料制度に何らかの不満がある有権者は約3,750万人いると思われます。
このように受信料制度に不満を持っている人が多いことは以前から分かっていたことなのですが、子供をNHKに就職させるなどの便宜を受けNHKに取り込まれている国会議員が多く、NHK制度を定めた昭和25年制定の放送法を不磨の大典の如く守ってきました。
放送法は見なくてもNHKと受信契約を結ばなければならいと定め、憲法上重要な個人の意志の尊厳を踏みにじる、住民税非課税の低所得者からも受信料を取り立て健康で文化的な最低限度の生活保障を侵害するなど憲法の精神に反する内容となっているにもかかわらず、最高裁判所は2017年12月に放送法を合憲としました。法務省からの違憲としないようにと圧力を受け、違憲判決を下したらNHKの放送がストップすることに恐れをなし、現状を追認したのです。日本の最高裁判所は行政および現状の追認機関と化していますので、ある程度予想された判決です。
国会議員も期待できない、最高裁判所も期待できないことが分かり出現したのが今回のN国党の躍進です。これは、受信料制度に不満を持つ者の最後の手段としての一揆です。
れいわ新選組は、N国党と違い政権をとることを目的とした政党です。消費税の廃止などかなり大胆な政策が並んでいますが、いずれも実現不可能なものではなく、魅力的な政党と言えます。しかし、れいわ新選組の政策は政権を取らないことには1つも実現しません。そしてれいわ新選組が政権をとるためにはまだ何回かの選挙が必要と考えられます。多分不可能でしょう。
これに対してN国党のような1つの制度の改廃を求める政党の場合、1回または2回の選挙で目的が達成できます。例えば、受信料の場合、次回3,750万人がN国党に投票してくれれば確実に改廃できますし、1,000万票に留まっても、NHK擁護派の議員の選挙区に刺客を立てればその候補を落選させることが出来るので、目的は達成できると考えられます。というより、次回の選挙の前に解決し、N国党は候補を立てないことになるのではないかと思います。N国党にとってはこれが一番です。
このように何か変えたい制度があるのなら、その制度の改廃を目指す政党を設立し、その党の元に結集した方が目的は確実に達成できます。日本人の場合、国の骨格を変えるのは不安という人が多いので、このようなやり方が性に合っていると思われます。