NHK受信料が負担金なら公共放送の見直しは不可避
NHKの上田会長は、9月5日の記者会見で、「受信料は視聴の対価ではなく公共放送を維持する負担金だから、スクランブル放送の導入はなじまない」との趣旨の発言をしたという報道です。ついに受信料を負担金と言い換えました。電気の使用対価を電気料、水道の使用対価を水道料、ガス料の使用対価をガス料と言うように、普通の日本語の意味では、受信料はNHK放送の受信対価となるのは当たり前です。受信の対価だから受信料契約が必要なのです。受信の対価でなく負担金なら受信契約を結ぶ必要はありません。また負担金はあくまで受益があってのものです。受益がないのに負担金はありえません。従ってNHKを見ない人に負担金は求められません。このようにスクランブル放送化を逃れるために受信料を負担金と言い換えれば益々NHK制度は成り立たなくなります。上田会長は、NHK受信料を「公共放送を維持するための負担金」と言い、公共放送の例として災害放送や選挙報道を上げていますが、それらはNHKの放送の内どれくらいの割合を占めるでしょうか?10%もありません。その他は民放と変わらない内容です。ただ受信料収入が巨額となるため製作費を潤沢に掛け、少し良い内容の放送となっています。しかし、テレビの多チャンネル化が進み、有料放送も増えたことから、NHKを見る人は激減しています。そんな中で実質的には民放の製作費に相当する受信料を払えと言うのが無理なのです。
それに家計が受信料の負担に耐えられなくなっています。1990年のバブル崩壊以降所得は減少し、最近またバブル期並みに戻したとの報道もありますが、支出は度重なる消費税増税や社会保障費、教育費、携帯電話料などで大幅に増大しています。それを食費や衣料費などを削って対応しています。だから食品や衣料の価格はさほど上がっていません。こういう中で家計は月2,000円を超える受信料の負担に耐えられなくなっているのです。見もしないのに受信料を払わされるに我慢できなくなっているのです。これは受信料を負担金と言い換えても同じです。むしろ負担金なら受益に応じた額にしろとなります。
NHKは毎年7,000億円を超える受信料収入を得ています。決算上の利益は200億円前後ですが、現金収支(キャッシュフロー)で見ると1,000億円以上余っています。昨季はこれでは批判されるとみて土地を購入して少なく見せかけています。こんな潤沢な状況ですが職員の給与や退職金を民放以上にすると批判が出るため押さえ、表には出ない職員年金を手厚くしています。70歳代のNHK職員の年金は年間400万円後半という報道です。商社や都市銀行でも300万円代と言いますから、日本トップ級の年金です。NHK受信料は先ず年金原資に充当され、その残りが他の費用に使われているのです。こんな実態が分かれば、受信料を払っている人が怒るのは当たり前です。こんな誰だって分かる不条理な制度が改められないのは、自分の子供や関係者をNHKに就職させるなどでNHKから便宜を受けている国会議員が多いからです。このため多くの国会議員がNHKと利益共同体の関係になっているのです。家計がNHK受信料を改廃するためには、選挙でこのような議員に投票せず、落選させるしかありません。