ソフトバンクとKDDIの端末4年縛り販売は禁止行為そのもの

ソフトバンクとKDDIが携帯端末の4年縛り販売を発表しました。端末を4年分割で購入し、25カ月目に新しい機種に買い替えれば残債は免除し、価格は最低半額になるということです。あれ、これって10月以降禁止されたのでは、と思った人も多いと思います。両社の説明によると、禁止されたのは端末と通信がセットになっている縛り契約であり、今回始めるのは、必ずしもセットを条件にしていないから、禁止されていないということです。なるほどと思いそうですが、これは巧妙な言い逃れです。というのは、割賦販売の場合、100日間SIMロックという買った通信会社(ソフトバンクとKDDI)の通信回線しか使えないようにする契約となっているのです。従って、端末購入後100日間は、端末と通信のセット販売と変わりません。それに4年縛りが付いているのです。即ち、禁止行為にそっくりそのまま該当します。彼らは100日経過後に解約して他社に乗り換えることはないから、以前と同じ4年縛り契約となることを狙っているのです。何故ならば端末が半額になることを考えれば通信料金が高くてもこちらが得だからです。端末の赤字を通信料金で埋め合わせるものであり、今回禁止された行為そのものです。他社回線を使う場合にも同じ条件で販売するから、禁止されたセット販売による縛り契約ではないともいっているようですが、割賦販売では100日間シムロックが付いていますから、端末販売時点では他社回線を使う契約はあり得ないのです。即ち、4年縛りによる端末販売は、自社回線を使う場合しかあり得ないのです。これは間違いなく10月以降の禁止行為に該当します。新たに禁止行為にするとか、100日のシムロックを外させるまでのこともありません。

これまで総務省が規則を変えれば、携帯キャリア3社はその抜け道を探し、規則の骨抜きを図って来ました。そのたびに通信料による家計からの収奪を強化して来ました。その結果、携帯キャリア3社は、売上高約13兆円、営業利益約3兆円、営業利益率約20%という信じられない高収益企業となりました。これは家計がそれだけ苦しくなっていることを意味します。同じ公益企業である電力9社の営業利益率が約5%ですから、携帯キャリア3社が儲け過ぎであることは一目瞭然です。この営業利益でも、儲け過ぎ批判をかわすために、販売代理店に多額の手数料を払い、巨額の広告費を使うなどして減らした後の利益です。電力会社並みの利益にするためには、料金収入(売上高)を5兆円(4割)減らす必要があります。そうすれば家計は通信費支出が5兆円減少し、消費税2%引上げ分を吸収できます。これは前回見送られた2%消費税引上げ分が携帯キャリア3社が吸い上げていたことを意味します。本来国の税収となるものを携帯キャリア3社が巻き上げていたのです。

これらを可能としたのは、総務省です。総務省は、通信業界の保護育成と監督という相反する業務を担っています。この場合保護育成に偏るのは原発行政を担った経済産業省の原子力安全・保安院で実証済みです。総務省は家計のことは顧みず、携帯キャリア3社を儲けさせることばかりに一生懸命になったのです。それは官僚退任後、携帯キャリアの豊富な資金が流れる広告代理店などに天下りする仕組みが出来上がっていたからです。言うなれば事後収賄です。これは総務省で通信行政を長く担当し事務次官にまでなった元官僚が、退任後大手広告代理店に天下って取締役になっていることを見れば明らかです。

今回のソフトバンクとKDDIの端末4年縛り販売は、当初から予想されていたことです。法案を作る場合、あらゆるケースを想定して抜け道を防ぎますが、総務省の場合、必ず抜け道を用意しています。そして携帯キャリア3社が儲ける時間を稼いでやります。今回の端末4年縛り販売は、10月からの規則改正の前に総務省と携帯キャリア3社が協議して合意していた可能性があります。

ソフトバンクとKDDIは、悪質なルール違反をやっており、通信という公益事業を行う会社にはふさわしくありません。携帯電話事業から退場させるべきです。