科学技術担当大臣を消化ポストに使ってはいけない

9月11日、安倍首相は内閣改造を行いました。本人はこれが最後の内閣改造と考えているようで、これまで自分を支えてきた人達をごっそり大臣にしました。それはどこの会社でも行われていることで文句ありませんが、問題は大臣ポストを派閥から推薦のあった議員の消化のために使っていることです。例えば科学技術担当大臣です。今回大臣になったのは竹本直一議員です。竹本議員は78歳、当選8回で岸田派が初入閣候補として推薦したようです。派閥からの推薦は、当選回数が多い人からとなっているようです。大臣就任で多選の功績に報いようとするようです。昔の日本企業の年功序列制度と同じです。しかし、日本の今の停滞状況を考えれば、科学技術担当大臣ポストをこのように使ってはいけないと思います。日本が停滞しているのは、新しい科学技術が生まれず、メードインジャパンの製品が出来なくなったせいです。その結果輸出する物がなくなったために、海外から資金が入ってこず、貧乏になっているのです。その代わり海外からの観光客を増やし観光収入を増やそうとしていますが、観光収入と輸出産業では雇用力が違い過ぎます。輸出産業の方が圧倒的に雇用力があります。

お隣韓国は日本を激しく追い上げており、1人当たりの国民所得では日本抜く日は遠くないと予想されます。それは偏に輸出比率が高いからです。その結果外貨が入って来て、国民所得が上がっているのです。輸出が国を豊かにするのは中国やドイツなどを見れば明らかです。

今のままでは、日本はどんどん貧しい国になるのは間違いありません。安倍首相は9年間首相を務めることとなると思いますが、やったこととしては金融緩和だけです。お金を溢れさせ、金利を低下させることに依って、企業や個人の支払い利息を減らし、利益や支出余地を増やしたのです。それでもこの効果はそろそろ御仕舞です。これが普通の状態になり、これでもやって行けない企業や個人が増加してきます。そしたら、貸倒れが増えただでさえ金利収入の減少でやせ細った銀行が耐えられなくなります。その結果、銀行の倒産や貸し渋り、金利の上昇が起こり、日本経済は逆回転を始めます。

金融緩和は良かったのですが、これはあくまでの時間稼ぎであり、これが効果を出している間に産業構造の高度化、新しい科学技術が生まれる基盤作りを行うべきだったのです。その為には、科学技術担当大臣には科学技術に詳しい聡明な人物を充てるべきでした。第2次安倍政権では、科学技術担当大臣に7人が就任しています。ほぼ任期1年であり、派閥推薦枠の消化ポストになっています。科学技術振興は、科学技術担当大臣の下ではなく、文部科学省で行われているから問題なという考えかも知れませんが、国民に科学技術立国を訴えるには重要なポストです。

国のレベルは首相や大統領の学力のレベルに収束します。首相には最低早慶以上の学力が必要だと思います。