関電役員金品受領、大阪は副首都には不適
関西電力(関電)の会長、社長以下20名が福井県高浜町の元助役から約3億2000万円の金品を受領していたと言う報道です。関西電力の社長の会見によると、7年前から提供があり、断ると関係が悪化すると思いひとまず受領し、いずれ返すつもりで受領した個人で保管していたということです。こんな言い逃れ誰も信じません。返すつもりなら個人でなく会社として保管します。そもそも普通の会社の役員ならこんな金品絶対に受け取りません。これらの事実が判明したのは、高浜町の原発工事受注企業の税務調査の中で元助役への手数料支払いがあり、元助役を調べたら関電の役員などへの金品提供が明らかになったということです。これは1年以上前のことで、関電ではこの事実を知らされ、内部調査を実施して全貌を掴んでいたようですが、公表していませんでした。さらにこの調査結果は取締役会にも報告されなかったということです。ここから分かることは、税務調査がなければ関電に知られることは無かったし、今回の報道がなければ社会に知られることもなかったということです。今回の事件は、関電という会社の体質が生み出したものであることは明白ですが、更には関電がある大阪の文化・土壌も関係していると思います。
私は、30年くらい前2年間大阪で仕事をしたことがあります。それは大阪の会社が新しい子会社を立ち上げるに際してノウハウ提供のために一部出資した東京の会社から出向したものです。そこで大阪の文化・土壌で驚いたことがありました。最初新設会社として挨拶回りから始めたのですが、大阪の親会社から来た社長は1個5万円のランバンの名刺位入れを用意し、会う人ごとにあげるのです。まだ民間企業はよいのですが、市役所の関連部署に挨拶に行ってもあげます。先ず課長に会い「これいいもんでっせ、ランバンの名刺入れです。よろしゅうお願いします。」と言い、名刺入れを渡します。するとその課長は嬉しそうに受け取り、「もう1個ありませんか。担当者にも渡しておいた方がよろしい。」と言い、催促したのです。これには驚きました。というのも市役所に来る前に、私から社長に「公務員に渡すと贈収賄になるから止めておいた方が良い。」とアドバイスしたところ、社長は「そんなことあらへん。なんもあげなかったらなんもしてくれへん。」と言ったのです。私は、相手は嫌な顔するだろうなと思っていたら、なんのなんの満面の笑みなのです。あ、大阪には贈収賄の観念はないんだ、くれるものはなんでも貰う、これが大阪の文化・土壌なんだと思いました。当時バブル崩壊の時期で、名門銀行の行員たちが資金繰りに困った大阪南の割烹料亭の女将に接待漬けにされ不正に手を染め、職を失うことになりました(私も付属の割烹店で女将に会ったことがあります。小太りの普通のおばちゃんでした。)。これは東京から来た会社員が大阪の文化・土壌に染まり、感覚が麻痺した事例です。
今回の関電事件を聞いて、「あ、大阪の文化・土壌は変わっていないな」と思いました。このように今回の関電事件は、関電という1企業の体質から起こったというよりも、背景に大阪の文化・土壌があります。大阪府は副首都を目指すと言っていますが、大阪にこの文化・土壌がある限り、官庁が集まる副首都には一番適さない所だと思います。