大学入試のために数学を捨てるのは人生の損失

筑波大学が2019年度の1年生からデータサイエンスを文系も必須科目とするとの報道です。75分を2コマ連続で10週ということですから、1500分、25時間の授業となります。これだけの時間ではデータ処理ができるようになるのは不可能であすが、その後独学で勉強したりプログラムスクールに通う人も出て来るでしょうから、その動機付けとして有意義だと思います。

私は会社を退職してから1年半ばかりコンピュータプログラムの勉強をしています。先ずはホームページ(HP)を作るためにHTML・CSSを学びました。早くHPを立ち上げたかったので1カ月でマスターするつもりだったのですが、不可能と分かりワードプレスに切り替えました。その後、HPで使うPHP、java-Scriptsを各2ヶ月学びました。2ヶ月ではほんの齧った程度です。使えるようになるためには実際に具体的プログラムを数多く書くことが必要になるのですが、その機会がありません。従って使いこなせるようにはなりません。使うものがないのに何故勉強するのということになりますが、使うものはこれから出て来ると思っています。そして今はpythonというデータサイエンスによく使われるプログラムを勉強しています。これは10カ月くらい続けています。一番自分に合っているプログラムであり、何かできそうな気がしています。

プログラムの勉強を始めたのは、自分の仕事が法律や会計知識など既存のルールの解釈や適用が中心であり、創造性を感じなかったからです。それに言葉や数字には具体的実体が伴わず、抽象的な世界で遊んでいる感じがして仕方なかったからです。その点医学や工学の世界は分子や原子という実体のある物を相手として具体的な物を作り出しますから、魅力的です。言葉に対応する存在があると言うのは安心感があります。会社員生活の最後の方では、具体的なものを作り出す創造的な仕事をしたかったなと思っていました。今からバイオや工学の勉強をしても何もできませんが、コンピュータプログラムなら何かできそうな気がして始めました。プログラミングには数学の知識というより数学の考え方が必要な気がします。工学系プロググラムの道に進まない限り高度な数学の知識を使うことはないと思います。たぶん昔の高校数2のレベルがあれば十分です。

考えて見れば分かりますが、日常生活には数字が溢れています。数字と無関係に生活するのは不可能です。国語・英語・数学は社会生活の基本となる学力であり、大学の理系・文系関係なく必要な基礎学力です。早稲田大学が近々文系の入試にも数学を必須とするということですが、正しい方向だと思います。今後多くの大学が追随します。現在高校2年進学時に数学が不得意ということで文系を選択する高校生が多いと思いますが、今後このような選択はできなくなります。社会生活においては数学的思考が不可欠なのだから、数学は一般教養のつもりで取り組み、決して放棄してはいけないと思います。