お寺は文化として残したい
全国に7万7000カ寺ある寺院が2040年には5000カ寺に減るとの予測があります。現在住職のいない寺は1万7000カ寺にのぼるという推定もあるようです。これは令和の廃仏毀釈とも言える出来事です。明治初期の廃仏毀釈で多くの寺が破却され、仏像などの貴重な文化財が破却され、経典などが焼却されました。この廃仏毀釈で江戸時代末期の約9万カ寺が半分の4万5千カ寺に減少したと言われています。廃仏毀釈が徹底された薩摩では1066寺全部が廃され、寺は一時0となったと言います。今後20年間の寺院の減少は、明治初期の廃仏毀釈を上回るものです。しかも残る寺院が5000ということは、各都道府県に100程度という計算であり、人口2万人に1寺の割合となります。その結果寺が無い町も出現すると思われます。
これは檀家の減少によって寺が経済的にやっていけなくなることが原因のようです。寺は日本の文化の一部であり、将来にわたって残すべき文化遺産だと思われます。日本の寺は多くが宗教性を失くし、習俗・風習化していますので、政治や宗教の問題とは切り離して保護を図っても良いと思います。
例えば、地域に寺を残すために、寺に保育園や幼稚園の機能、そこまで行かなくても子供を預かる機能を持たせることが考えられます。また、小学生や中学生の塾の機能を持たせることも考えられます(衛星教育の受講場所でもよい)。また、文化講座を定期的に開催して、地域の文化センター的役割や講堂をギャラリーとして開放することも考えられます。こうして地域の文化活動の拠点として維持します。
かってお寺は教育や文化の拠点でした。それが葬儀の場所だけとなったため、地域の人たちにとって魅力がなくなったのです。それをもう一度かってのお寺の状態に戻す必要があります。それには、地域の支援が必要だと思います。それは宗教への支援ではなく、文化・教育への支援として許されると思います。お坊さんには教育関係の資格を取得して貰って、学校の課外活動支援者的役割も果たして貰います。こうして町ぐるみで寺の存続を応援する必要があると思います。