電力各社の金品受領調査、「儀礼の範囲」が疑惑を深めた
関西電力を除く電力9社は、関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていたことを受け、役員らに同様なことがなかった調査した結果、「儀礼の範囲」を超える金品の授受はなかったと経済産業省に報告したとの報道です。
先ず調査方法が問題となりますが、各社とも面談や電話で役員などに確認したとのことです。これではないと言うに決まっているとなりますが、金品を個人に渡す場合、他者を介在させず直接渡すことが多いので、問題が露見していない今の段階ではこれしかできないと思います。今後問題が出て来るとすれば「儀礼の範囲」の中身だと思います。これは「儀礼の範囲」内の金品の受領はあったということを意味しており、「儀礼の範囲」の中身が明示されていない限り、その判断は役員の主観で大きく異なることになります。関西電力の場合、50万円の洋服仕立券を「儀礼の範囲」と考えている様子が伺えます。常識的にはあり得ないことです。貰った本人も最初はびっくりしたはずです。その後これが続くと感覚が麻痺して「儀礼の範囲」になってくるものと思われます。このように「儀礼の範囲」を明示しない調査では、金品の授受があってもすべて儀礼の範囲に入れられてしまいます。従って、金品の授受があればすべて申告させることが必要であり、調査としては金品の授受があったかなかったでないといけません。その点で今回の電力各社の調査報告は不十分であり、今後個別に授受情報がリークされて問題になりそうです。
九州電力の場合、社内規定で金品や中元、お歳暮の受け取りを禁じているということなので、「儀礼の範囲」で受け取ることもないはずです。従って、なかったという報告なら、「儀礼の範囲」の留保なしの報告となるはずです。従って今回の報告に「儀礼の範囲」の留保が付いたことは、社内規定を守っていない役員がいる疑いを持たれることになりました。