恩赦は自民党の選挙対策?
政府は18日、天皇陛下が即位を国内外に宣言される「即位礼正殿の儀」に合わせ「恩赦」を実施することを閣議決定したと言う報道です。この結果、何と55万人の有罪者が刑が免除されるなどの恩恵を受けることになります。普通に考えれば、「えー、なんで?」となります。特にこれらの犯罪により被害を受けられた方の不満は大きいと思われます。
恩赦について、憲法7条で「恩赦は天皇の国事行為」としており、憲法上認められています。国事行為ですから、実質的には内閣が決め、天皇は形式的に関与するだけです。即ち、実施するかどうかやどういう犯罪について実施するかなど恩赦の内容は全て内閣が決めることとなります。従って、政治的配慮が濃いものとならざるをえません。政府は、恩赦に対する批判を踏まえ、対象は罰金刑などの軽微な犯罪に限定するとしていますが、これには公職選挙法違反などが入ると言われています。即ち、現政権に協力的な人たちの救済に主眼があるのは間違いありません。それに今回の恩赦で赦免になった人たちは、恩義を感じて次の総選挙では自民党に投票するだろうという目論見があると考えれます。55万人と言えばかなりの票数です。
これら以外に恩赦を行う意義を探しても何も見つかりません。本当に何でこんな制度があるの?という感じです。恩赦の制度は、イギリスなどヨーロッパの王政の国でできたようです。発祥国であるイギリスでは、制度はまだあることはあるけれど1930年以降実施されていないということです。これを盛んに利用しているのは、アメリカや韓国など政治的対立の大きい国です。日本では、恩赦に対して国民の関心が薄いことを良いことに、政府がこっそりと政権与党に有利に働くように利用しているようです。三権分立制度の元では、刑の内容は立法府の、刑の判断は司法府の権限から、行政府の判断で刑の言い渡しを無効化する恩赦の制度は、憲法の三権分立の制度からもおかしいことは誰が考えて分かります。
安倍首相は憲法9条の改正に執念を燃やしていますが、憲法の恩赦の規定こそ真っ先に改正(削除)すべきものです。