NHK受信料2ヶ月未納で提訴なら2000万人提訴?
NHKは10月28日、N国党の立花代表に受信料2か月分4,560円の支払いを求めて東京地方裁判所に提訴したという報道です。これは今後重大な問題を引き起こします。NHKにとって命とりになる可能性があります。
それは、今回の提訴がNHKの未納受信料提訴の基準となるからです。今回の提訴の原因となった立花代表の未納受信料は今年8月、9月と僅か2か月分で、それも最近のものです。これが2、3年前のものなら、2ヶ月分でも仕方ないと思います。しかし僅か2か月前と1か月前の受信料です。通常の取引なら回収努力をしている段階です。同じ継続取引である電気代の場合、検針日から支払日、催告を経て50日間支払いがないと電気が止められるようですので、NHK受信料も少なくとも50日程度経過しないと未納とは判断できないと思われます。NHKは10月28日に提訴を発表していますので、9月分からすると2カ月未納が確定していない段階で提訴したことになります。これは一般の取引常識に照らして乱暴と言えます。それに立花代表は、受信料を全く払わないとは言っていません。約2割の人は払っていないから受信料の8割を払うと言っています。即ち、払う意志がないわけではないのです。NHKからすると8割の支払いは認められないから結局払わない意志だということでしょうが、少なくとも支払いを求めて訪問し、話し合いをする必要はあったと考えれます。従って本件提訴は裁判所から棄却されてもおかしくないと思われます。
今回のNHKの提訴は、維新の党の松井代表などがNHKは受信料不払いを宣言している立花代表に厳しく対応すべきと発言したことに対する政治的なポーズと思われます。しかし、これはポーズで済まなくなります。今回の提訴に対して高市総務大臣は「公平な負担の確保に向けた取り組みを推進して頂きたい」と述べています。この意味は、受信料の未納は公平な負担に反するので提訴もやむを得ない、ということです。となると、今回の提訴が受信料未納による提訴の基準となることになります。2ヶ月未納で提訴するというとは、受信対象世帯の約2割、約900万世帯の不払い世帯については速やかに提訴しないとこの基準に反することになります。また、この不払い世帯というのは、1年間に1回も払わなかった人を言うと思われ、年間1回でも払った人は含まれていないと思われます。そうだとすれば、年間2ヶ月以上未納(1回以上未払い)の人は不払い世帯以上いると思われ、不払い世帯を含めると提訴しなければならい人は約2000万人くらいに達すると考えらえます。NHKは今回の立花代表提訴により、公平な負担を確保するためにこれだけの人を提訴しなければならなくなったのです。もちろん今回の提訴により2ヶ月以上の未納が減少するという効果はあるでしょうが、受信料に不満で払っていない人が多いので、この効果は限定的です。その為多数の人が提訴され、提訴された人はNHK許さじの気持ちを強く持つことになります。その結果、提訴された人は国政や地方選挙でN国党に投票することとなり、N国党の大躍進を招きます。その結果、NHK解体の動きが強まることになります。
そもそも本件の根本問題は、NHKの必要性が低下していること、家計が受信料負担に耐えられなくなっていること、にあります。そしてこの現実に政府や国会議員が目をつぶり、NHK制度改革に動かないところにあります。本件提訴は、国会議員となった後の発言や行動で顰蹙を買っていたN国党の立花代表が再び多くの国民から支持される機会となりそうです。