消費税2%引上げの影響は携帯料金5兆円の引下げで解消するしかない

消費税2%引上げの影響は、10月にはそんなに見られないとの報道です。それは食品が8%に据え置かれた影響が大きいと思います。スーパーに行くと買い物後に料金が上がっていないことに気付き、ここで初めて食品については消費税が上がっていないことを実感します。これが消費税引上げの実感を相当押さえていると思います。今後冬物衣料品などを買うようになると消費税が引き上げられた影響を実感するところとなり、支出の抑制が始まると思われます。それに企業の中間決算では、減益修正が多くなっており、これが冬のボーナスや来期の賃上げ抑制に繋がり、家計は益々支出抑制を強化してきます。通常一旦必要以上の支出抑制を試み、その後妥当な支出額に収束しますので、キャッシュバックや東京オリンピックなどが終了する来年の後半は相当の落ち込みになることが予想されます。この場合政府や日銀に効果的対策は見当たりません。

このような中で最も効果的なことは、携帯料金を5兆円引き下げることです。5兆円と言う金額は、消費税2%の金額に相当します。要するに消費税2%の引上げで増加した家計の支出を、携帯料金を引き下げることによって相殺してやるのです。

「え、携帯料金を5兆円も下げられるの?」と思う人もいるかと思いますが、可能です。携帯電話3社の2019年3月期の業績は、売上高約13兆円、営業利益約3兆円、営業利益率約20%です。これに対して同じ公益企業である電力9社のそれは、売上高約19兆円、営業利益約9,500億円、営業利益率約5%です。これを見ると携帯3社の利益は公益企業にあるまじき状態であることが分かります。国民の財産である電波を使い、携帯電話がライフラインであることを利用し、家計から収奪を繰り返しているのです。

これに気付いた菅官房長官が昨年「携帯料金は4割下げられる」と発言し、所管の総務省に対応を指示しました。家計が支払っている携帯料金総額は約13兆円ですので、その4割が5兆円(13兆円×0.4)となります。携帯3社の営業利益は約3兆円ですが、これは販売代理店や広告費などの経費をふんだんに使った後の利益であり、電力会社並みのコスト管理を行えば、5兆円程度の利益が出てきます。携帯3社はこれまでの10兆円以上の利益を社内に貯め込んであおり、同情は不要です。これでやっと公益企業にふさわしい利益水準となります。

しかし、ここまで家計が支出する携帯料金は全く減少していません。それは携帯3社の2019年中間決算を見れば明らかです。これは菅官房長官から指示された総務省がサボタージュしているからです。総務省は表面的には何回か料金引き下げの施策を発表しましたが、全く効果が出ていません。それは本気で4割下げさせる気がなく、数々の抜け道を用意しているからです。

このままでは来年後半には間違いなく消費は落ち込みます。家計は消費税2%引上げで増加した支出約5兆円を減らすため、それ以上の節約に走ります。そうなれば間違いなく消費不況に突入します。一旦消費不況に突入すれば、回復に時間がかかるのはこれまでの消費税引き上げで経験済みです。これを防ぐためには、携帯料金5兆円の引下げを実現するしかありません。これが出来なければ総務省は解体すべきです。