これからの日本社会や企業はラグビー日本代表がモデルになる

ラグビーワールドカップ2019は、9月21日から11月2日までの日程で日本で初めて開催されました。公式キャッチコピーに「4年に一度じゃない。一生に一度だ」と謳ったくらい、ラグビーワールドカップが日本で開催されるのは奇跡ともいえる出来事でした。なんせ日本は4年前のイングランド大会で南アフリカを破るなど3勝を挙げるまで、参加国中1、2の弱小国であり、出場してもニュージーランドなどのティア1と言われる強豪国には大差で敗れており、開催資格がないのではと思われていました。それにラグビーは日本においてメジャーなスポーツではなく、大会を開いてもチケットが売れないのでは、と危惧されていました。この危惧の通り、大会が始まるまでは殆ど話題に上ることがなかったと思います。ところが大会が始まったら、これほど盛り上がった国際大会があっただろうかと思わせる盛り上がり様でした。スタジアムはほぼ満杯で、テレビ中継は20%を超える高視聴率を連発しました。なんと日本とスコットランド戦の視聴率は50%近くとなりました。国民の半数が見ていたということであり、紅白歌合戦並みだったことになります。

それまで関心を持たれていなかったラグビーが何故これだけ盛り上がったかと言えば、テレビで中継される試合が真剣さに溢れた高レベルものであり、肉体のぶつかりあいとチーム愛に感動が広がったものと思えます。それにそんなに期待していなかった日本チームの躍進です。最初の試合でロシアに30対10で勝ったときには、「ああ、あまり強くないな。これでは世界ランク1位のアイルランドには勝てないだろう」と思っていたら、なんと19対12で勝ってしまったのです。この試合を見ていた人は、最後には逆転負けだろうと負けたときにがっかりしないよう予防線を張って見ていたと思います。それくらいアイルランドは強いチームでした。それからサモアに38対19で勝ちましたが、次の相手スコットランドはサモアに34対0で勝っていましたから、日本は勝てないように思えました。そして運命のスコットランド戦では開始早々スコットランドにトライを挙げられ、「ああ、やっぱりか」と思ったものです。しかしその後、福岡選手の見事な抜け出しや稲垣選手のパスを繋いだ見事なトライがあって、28対21で勝利しました。最後の20分はスコットランドに押されっぱなしで、ひやひやドキドキの連続でした。こうして日本代表チームは日本国民の心をがっちりと掴みました。残念ながら次の南アフリカは26対3と力負けしましたが、南アフリカが優勝したことから日本代表が再評価されることとなりました。

日本代表は普段企業のラグビー部に所属し、日本のトップリーグで試合をしています。ラグビーがある企業は野球やサッカー部を持つ企業程多くありませんが、どこも業績の立派な企業です。それらの企業はラグビー部を持っていてよかったと思ったでしょうし、その他の企業の中にはラグビーを持とうかと考えるところが出て来るかも知れません。それは、ラグビーが企業の社員に求められる全力プレーやチームプレーなどを体現しているからです。また、もう一つの大きな変化として、ラグビー日本代表の半分以上が外国人であり、これまで日本人が持っていた日本代表は日本人でなければならいという固定観念を破ったことがあると思います。日本人であろうが外国人であろうが、日本のために全力を尽くしてくれるならどちらでもよいという気持ちになったのではないでしょうか。特に企業では外国人社員が増えており、社内で英語を公用語とする企業も出てきているところから、今後の企業の進む明るい方向を示しているように感じた人も多いと思います。これは今後人口減に見舞われ、外国人の増加が無ければ経済活動や生活を維持できない日本社会にもポジティブな展望を持たせることとなったと思われます。