河井議員の公職選挙法違反容疑、今の検察では不起訴間違いなし
自民党の河井案里参議院議員が立候補した7月の参議院議員選挙で、選挙事務所が運動員に対して規定の2倍の報酬を払って買収した疑いで、「政治資金オンブズマン」の11名が11月27日、公職選挙法違反の容疑で河井案里議員、夫の河井克行前法務大臣ら3人について広島地検に告発状を送付したと言う報道です(12月2日には別の市民グループが提出)。
告発されるのは河井案里議員、事実上の選挙運動の中心人物と見られる夫の河井克行前法務大臣と、克行氏の秘書を務めたこともあり、現在は案里氏の公設秘書を務めている人物の3人ということです。
告発内容は、河井案里議員ら3人は、7月に行われた参議院議員選挙において、車上運動員15人中13人に対して、一人一日1万5,000円と法令で定められているにもかかわらず、3万円を支払って買収した疑いがあること、および河井議員らは、買収を隠すために虚偽の領収証を作って選挙管理委員会に報告した疑いがあるということです。13人もの多人数を買収した疑いがあり、事実であれば公職選挙法の中でも一番罪の重い刑事罰に相当すると言います。河井案里議員と河井克行議員は、この疑いが報道されて河井克行議員が法務大臣を辞職した以降、公の場に姿を見せていないということです。
何故この話題を取り上げたかというと、今の検察ではこの嫌疑を調査し、事実であっても起訴しないと考えるからです。安倍内閣になってから官邸は、省庁の幹部人事を支配していることを利用して、検察の起訴、不起訴にまで影響を及ぼしています。その典型例が森友事件における財務官僚の不起訴でした。あれなど以前の検察なら間違いなく起訴していました。検察としても元財務省理財局長の辞職、偽造した議事録などの公開により意地を見せましたが、起訴すべき事件を圧力により起訴しなかったという事実は変わりません。それ以上に問題なのは、この不起訴以降警察までも官邸の受けの良い対応をするようになっていることです。例えば、6月の参議院選挙では札幌で安倍首相の演説に野次を飛ばした市民が刑事に取り囲まれるという事件がありました。これなど道警幹部が今後の出世のために指示を出したと思われます。このように官邸に気に入られれば出世できることが明らかになったため、官邸の意向に沿った警察や検察となっています。その結果、官邸と繋がりが強い議員や官僚は法律違反があっても見逃されるということが常態化して来ています。
河井克行議員は、前法務大臣であり、かつ元安倍首相補佐官でもありました。今回法務大臣に就任したのは、同氏が支持する菅官房長官の推薦があったからと言われています。また、河井案里氏も、菅官房長官の支援で参議院議員広島選挙区に立候補し当選しています。今回選挙違反の疑いが出て河井克行議員が速やかに法務大臣を辞任したのは、菅官房長官の指示と思われます。そうすれば選挙違反はもみ消してやるからという暗黙の約束があったと推測されます。菅官房長官は官邸において法務省幹部も掌握していますので、これは十分実現可能だと思われます。というより必ずやると言って良いと思います。従って、河井案里議員、河井克行議員の公職選挙法違反容疑について広島地検は、証拠不十分として不起訴とすると予想します。今の検察には自民党議員を起訴する気概はありません。