私立高校無償化より私立中学校無償化が効果的
東京都は、私立高校生に対する都独自の授業料軽減制度を広げ、対象世帯の年収を現行の760万円未満から910万円未満にすると言う報道です。国の助成分と合わせると、都内の私立高校の平均授業料にあたる約46万円が給付され、実質無償化となるということです。
現在では東大合格者の大部分を私立高校が占めており、私立高校の方が進学教育力に優れているのは明らかです。また野球の甲子園やサッカーの全国大会の出場校や優勝校も私立高校が圧倒的です。即ち、私立高校に行くことが個人の能力を伸ばし、人生で成功する上で有利になると思われます。これまで私立高校に行けない理由の1つが授業料の高さにありました。公立の普通高校が月2万円程度なのに対し、私立高校は倍の4万円くらいしていたからです。この障害が撤廃されるとなるとこれまで公立に行っていた生徒の中から私立に行く生徒が増加すると思われます。その結果、東京都の高校生の難関大学進学者が増加し、官僚や有力企業への就職者も増えます。そして、東京に本社がある大企業では東京出身者で十分で、地方出身者は必要とされなくなるかも知れません。これは大袈裟ですが、少なくとも現在の東京独り勝ちの状態が更に進むのは間違いありません。
東京都がここまでできるのは企業の本社が集中しており、法人税が豊富で、個人所得も高く税収が多いからです。ここに多少とも対抗できるのは大阪府くらいではないでしょうか。大阪府は、大阪府立大と大阪市立大の統合に合わせて、追随するかも知れません。それ以外の道府県は予算の関係でここまでやれないのではないでしょうか。
その場合、私立高校無償化は現状のままで、私立中学校を無償化することが効果的です。現在東大進学者や難関大学進学者の大部分は私立中高一貫校が占めています。そして現在多くの私立中高一貫校が高校からの入学者を認めず中学からの入学者一本にしようとしています。授業の進捗状況が違うことが原因と思われます。ということは、優秀な子供に優良な教育環境を与えようとすれば、私立高校を無償化してもダメで、その前段階としての私立中学校を無償化しないといけないということになります。地方の場合、優秀な私立中高一貫校が少ないので、全国の優秀な私立中高一貫校の中学校への進学者を無償化の対象とします。これでとびきり優秀だけれど家庭の経済状況で有名私立中高一貫校に進めない子供を救うことができます。こうすればこの制度により助かった生徒がその後医者や官僚などになって地方に貢献することとなります。また、私立中学校を無償化すると小学校で顕著な才能が認められる児童に英才教育を施すための私立中学校が増えると考えられます。それに繋がる形で私立高校も才能教育型となりますので、郷土の才能を生かす教育ができるようになります。もう公立による平等重視の普通教育は限界に達しており、子供の持つ才能に応じた教育体制が必要になっています。その為には中学から才能教育に特化した私立中学校が必要であり、無償化すべきはここです。