英国も気付いたBBC受信料の不条理
12月12日投開票が行われた英国の総選挙で保守党が圧勝し、この結果保守党党首のジョンソン首相が掲げた欧州連合(EU)からの離脱が確定的となりました。このことは日本でも良く報道されていますが、この選挙の前にジョンソン首相が行ったもう一つ重要な公約については殆ど報道されていません。それは、「公共放送BBCの受信料廃止を検討する」という公約です。BBCの経営は、ほぼ年間約22,000円の受信料(受信機1台当たり)で賄われ、日本のNHKのモデルとなっています。英国では不払いには刑事罰(最高約143,000円の罰金)が科されるため、受信料の支払い率は100%に近くになっています。これに対してジョンソン首相は、メディアが多様化した現在BBCだけ受信料で賄う理由はなく、また受信料が事実上税金となっているとして、視聴する分だけを支払う課金制(スクランブル放送化)が望ましいとの考えを示したのです。更に12月17日には財務省が受信料の不払いに対する刑事罰を廃止する検討を始めたという報道です。
これはなんと今年の参議院議員選挙で1議席を獲得し、併せて政党要件を充たし国政政党となった「NHKから国民を守る党」(N国党)の主張と一致します。N国党の立花代表は参議院議員になってからの発言や行動から変人と見られていますが、その主張は極めて理性的だということが分かります。これで、NHKの受信料徴収の根拠をBBCの受信料において、受信料制度見直しの動きを封じてきた自民党などのNHK擁護議員がおかしいことがはっきりしました。彼らが何故NHKを擁護するかと言えば、NHKやその関連企業に自分の子供や支援者の子弟などを就職させるなどNHKから便益を受けているからです。そうでなければ、自分の支持者の多くが苦しむNHK受信料制度を擁護するはずがありません。NHKの実体を見ても、公共放送は全放送の10%もなく、残りは民間放送と変わらない内容です。NHKは公共放送と称して民間放送の運営費用を受信料で徴収しているのです。NHKは放送法を盾にNHK受信料の徴収を強化し、昨年は年間約7,200億円の受信料を得ています。うち約1,000億円を余らせ、内部にため込んでいます。NHKの2019年3月期の現金・有価証券は約4,800億円もあります。また関連会社にも1,000億円を超える内部留保があります。このように受信料制度はNHKを富ませる家計収奪に他なりません。
受信料についてNHKは、これまで受信契約の対価であるとして、国の関与を防いできましたが、N国党がスクランブル放送を主張し一定の支持を得ると、一転公共放送負担金であるとして、スクランブル放送には馴染まないと主張を変えました。公共放送負担金ならそれは税金ということになります。ならば税金として国が徴収し、公共放送をNHKに委託するという仕組みが良いことになります。これなら問題となっている受信料回収トラブルも無くなりますし、公共放送はNHKの全放送の10%程度ですから、700億円程度の税金で済むことになります。その結果家計にとって約6,500億円の減税となります。
BBCのスクランブル放送化は、保守党党首が総選挙で公約したことですから、いずれ実現すると考えられます。実現した暁には、BBCを根拠にNHK受信料を擁護してきた自民党などの議員ももう擁護できなくなります。というより今後はNHK受信料を擁護する理由がなくなります。これでN国党の主張は正しいことが証明され、次の総選挙では「NHKスクランブル放送、賛成か反対か」で勝負できます。自民党や立憲民主党はこれでも家計を犠牲にしてNHKを守るのでしょうか。
尚、このジョンソン首相の公約については、日本の大手新聞は報じていません。それは傘下に放送会社を持っているため、NHKがスクランブル放送化され傘下の放送会社の競争相手になることは困るからです。これで分かることは、新聞は自社の利権に反する情報は報道しないということです。