2020年は安倍政権の歪が噴出する年
正月早々から縁起の悪い話ですがが、2020年は安倍政権の無策の歪が噴出する年になりそうです。
先ず昨年10月に引き上げた消費税2%の影響で家計や個人の支出が減少し、深刻な消費不振が現れます。既に昨年10月に家計支出が前年同期比-5.1%となっていますが、ポイント還元策が終了する今年7月以降には、8月9日には終了する東京オリンピックもあり、深い落ち込みを見せるのは間違いありません。多分前年同期比で-10%を超える月が出て来ると思われます。こうなると小売店を中心に減収減益となり、賃金が低下し雇用が悪化します。
これが金融緩和で金利収入が細った銀行業界に大きな影響を与えると予想されます。先ず業績悪化企業が増加し、貸倒損失が増えます。また、個人の住宅ローンの焦げ付きが増加することが予想されます。というのは、ローン金利が低下した結果、収入が低い人や会社が不安定な人まで住宅ローンを借りているからです。消費不振となればこれらの人の収入が低下し、ローン元金の返済が難しくなると考えられます。即ち、今回の住宅ローン問題では、金利の支払いではなく、元金の返済ができない人が増えると予想されます。昨年来優良企業でも人口減少や市場構造の変化に対応するため前倒しでリストラ(人員整理)を行い始めました。この流れは2020年になると更に加速すると考えられます。どこの会社もなにがしかのリストラをやっているのが普通になると思われます。住宅ローンは定年退職まで1つの会社に勤めることを前提に返済計画を建てていますが、今後は1つの会社で定年退職を迎えられる人は新卒で入社した社員の半分もいない時代になると考えた方がよさそうです。
銀行の業績が悪化すると、ATM手数料や振り込み・口座引き落とし手数料などが引き上げられ、家計の負担が増します。口座管理手数料が導入されると言う話もありますし、金融取引に関する費用全般が増加することは間違いありません。それに金融緩和下でも銀行の採算に合うレベルまで貸出金利が引き上げられることが考えれます。貸出金利の反転上昇が始まると考えられます。
日本の家計はバブル以降収入が上がらない中で消費税の5%引上げや医療費負担の増加などで公的支出の増加を強いられる一方、携帯電話料金として13兆円も携帯3社に吸い上げられ、ほぼ限界に達しています。ここから先は、少しの支出増加でも家計破綻をもたらします。
個別の会社では日産の業績悪化に歯止めがかからなくなる可能性があります。2018年11月のゴーン元会長逮捕により日産の組織はガタガタになっており、繕った新経営体制も再建のキーパーソンだった関副COOが退社したことから瓦解しており、再建の目途が立たなくなったと思われます。関副COOの退任はそれを確信したことが最大の原因と考えられます。
次にソフトバンクグループ(SBG)です。SBGの10兆円ファンドはWeWorkのIPO失敗から始まってUberの株価下落などから巨額の損失を出すことは確実であり、その額は投資額の半分の約4兆円から悪くすると6兆円になるのではないかと予想されます。そうであってもSBGはアリババ、ソフトバンクなどの株式を所有しており、その時価総額は20兆円以上とも言われますので、これらを換金できれば財務上問題ありません。しかし、数兆円の株式を現金化するとなると、一番手っ取り早いのは株式保有会社の自社株買いですが、アリババが自社株買いするとは思えません。そのためSBG保有のソフトバンク株をソフトバンクに自社株買いさせることが考えられます。SBGが10兆円以上保有するアリババ株は、市場で何回かに分けて売却するしかなく、その場合でも株価が大幅に低下することが考えれます。このように、時価総額の大きな株式を保有していても、これを換金化することは容易ではないのです。その結果、必要な資金の時期と株式換金の時期がずれ、信用不安を招くことが考えれます。不動産バブル時の1980年後半に不動産融資規制が敷かれ、どんなに高い時価の土地を持っていても換金できず宝の持ち腐れだった状況と同じとなります。やはり企業は借入金の返済に見合う流動性のある資産を準備しておくことが重要です。SBGの場合、こうなっていないのです。
日産とSBGの騒ぎが大きくなると日本の多くの企業が取引リスクに身構え、取引が委縮することが考えられます。こうして深刻な不況に突入することが心配されます。
安倍政権がやったことと言えば金融緩和のみであり、日本の経済の経済構造は何も変わっていませんから、こういう状況は遅かれ早かれやって来ます。