ゴーン出国、関空はフランス資本が運営!

2018年12月31日、保釈中の元日産会長のゴーン被告(以下ゴーン)が日本を出国し、中東のレバノンに到着したというニュースが飛び込んできました。ゴーンの罪状は金融商品取引法違反の有価証券報告書虚偽記載罪と会社法違反の特別背任罪であり、刑法違反事件でないことから、日本国内および外国では、ゴーンに対する怒りよりも、どうやって脱出したんだろうと言う点に関心が集まっています。当初ゴーンが所持していたパスポートは全部弁護士事務所が保管しており、正規の手続きで出国することは不可能ということでしたが、暫くしてゴーンはフランスのパスポートを2通保持しており、在留外国人の義務として1通は常に携帯しておく必要があるということから、1通を頑丈な容器に入れ、それに鍵をかけ、その鍵を弁護士事務所が保管する形で、ゴーンが所持していたことが判明しました。その結果、そのパスポートを使って正規の手続きで出国した可能性が浮上しました。一方レバノンでは、ゴーンは自宅に招いた楽隊の楽器ケースの中に入り自宅から抜け出し、プライベートジェット(PJ)に運び込まれたと報道されました。丁度12月29日に関西国際空港からトルコに飛び立ったPJがあったことから、ゴーンはこのPJに乗ってトルコに行き、トルコの空港でレバノン行きのPJに乗り換えてレバノンに到着したことが分かってきました。その後トルコ当局がこのPJのパイロットと運航関係者を逮捕したことから、この経路は間違いないようです

後はゴーンの自宅から関空に行きPJに乗り込むまでの経緯の解明です。その後東京地検がゴーンの自宅の監視カメラを調べたところ、12月29日の昼過ぎゴーンは1人で外出していることが判明ました。ゴーンはその後支援者と合流して関空に向かったと想定されました。1月6日の報道によるとゴーンは品川駅から新大阪駅まで新幹線で移動し、その後タクシーで関空近くのホテルに入ったことが分かりました。意外と堂々とした移動で、驚きです。

最後の問題は、関空でどうやってPJに乗り込んだかです。所持していたパスポートを使用すれば国外出国禁止者として足止めされるのが確実のようですので、これはないようです。

楽器ケースに入って運び込む場合でも荷物検査があるので困難という声が支配的でした。こんな中米国から、黒い大きな箱に入れられPJ機内に運び込まれたという報道がありました。飛行機へ持ち込まれる荷物を厳しくチェックするのは、不特定多数の乗客の安全を守るためであり、PJの場合、機内に持ち込まれるのは少数のPJ乗客自身の荷物であり危険が少ないため、荷物検査は行われない場合もあるということが分かりました。そして関空ではこれを行っていなかったことが判明しました。

従ってゴーン出国は見事に関空の盲点を突いたことになります。しかし、PJの場合確かに危険物を機内に持ち込む可能性は少ないですが、密輸に使われる可能性がるため、日本側としてはしっかり検査する必要があります。他の空港はPJの場合もしっかりやっていたようです。では何故関空だけやっていなかったのか、引っ掛かっていました。そこで関空の特殊性に思い当たりました。関空は2015年に運営権が国から民間企業に売却され、関西エアポート株式会社(以下関西エアポート)が運営しています。そして注目すべきは、関西エアポートの筆頭株主が日本のオリックス(40%)と並びフランス企業バシン・エアポート(40%)であることです。バシン・エアポートは世界7カ国で35の空港の運営を手掛けており、オリックスは空港運営の経験がないことから、関空の実質的運営はバシン・エアポートが行っていると考えられます。ということは、空港のセキュリティ情報はバシン・エアポートからフランス側に筒抜けになっており、ゴーンのフランス側支援者が入手するのは容易だったということです。またPJの荷物検査を行わないと言う運営規則が事前にゴーン脱出を睨みバシン・エアポートが制定した可能性もあります。そう考えると、今回のゴーンの出国は、極めて安全性の高い出国だった可能性が高いと思われます。やはり日仏外交交決着の上での出国かも知れません。

この疑いにつきバシン・エアポートは当然否定するでしょうが、空港の運営権が海外の企業に握られ、運営情報やセキュリティ情報が海外に筒抜けになる資本構成は、日本の安全保障上問題だと思われます。この点についても今後検討が必要です。

 

追伸)この記事を書いた後、ヤフーニュースを見たら、ニッポン放送の番組でジャーナリストの須田慎一郎氏がバシンとゴーンはフランスで大変親しい関係にあることから、バシンの手引きでゴーンは堂々と出国した可能性が高いと述べていました。これは自分だけの視点だと思っていたのに残念です。