死ぬまで働くか、さっさと辞めるか二極分化の時代
日本経済新聞社が2019年秋に実施した調査によると、70歳以上まで働くつもりだと答えた人が60歳代の54%にのぼったと言う報道です。2018年秋に実施した前回の調査に比べて9ポイント増えていると言います。
これをどう理解するかですが、働くことに生きがいを感じる人が多のか、働かないと生活できないのか、のどちらかでしょう(次回のアンケートでは分けて欲しいと思います)。
私の経験からすると、前者はちょっと考えられません。通常大企業の場合、50歳以上で会社に必要とされる人はほんの一握りの人ですし、その他は出来たらやめて欲しいと思われている人です。その為、業績の良い会社では、いろいろな特権を付けて、退職や転職を勧めています。早期退職の場合、年俸の2,3年分の退職金を加算することも行われています。それくらい不要ということです。大企業の社員の場合、そのことは重々分かっているので、70歳まで働きたいという気持ちにはならないと思います。ということは、前者は大企業以外の社員に多いと思われます。大企業以外では大企業より収入が少なく、貯えも少ない人が多いでしょうから、70歳まで働きたいということになるのでしょうか。
私は53歳で会社を退職しましたが、早いことは無かったと思います。実は50歳での退職を考えていましたので、予定より少し遅い退職となりました。それは50歳前にリーマンショックが起き、株式で運用していた資産が半減したからです。これが無ければ予定通り50歳で退職していました。私の場合、仕事は生活して行く収入を得るための手段であり、苦行でしかありませんでした。だから、会社は1日でも早く辞めたいと考えていました。私からすると、会社に行っている大部分の人が私と同じような気持ちではないかと思います。従って、70歳まで働きたいという人が54%といるということが理解できません。65歳から年金が出るので、贅沢な生活さえ望まなければ生きて行けると考えられます。もし退職前まで務めていた企業に70歳までの雇用義務を課すならば、企業は早めにリストラを行い、自社で退職を迎える人を減らす作戦に出ると思われます。昨年来、業績好調にも関わらずリストラを行う企業が多いのは、このような考えが入っていると思われます。
一方で、私のようにお金を確保し、なるべく早くリタイヤする計画を実行する人も増えて来ると思われます。子供が1,2人の家族が多いので、親の遺産贈与を受ければ、子供はそれなりに裕福な生活を送れる人が増えています。そんな人たちにとって、50歳までにその後の生活資金を確保することは難しくなくなっています。22歳から50歳までの28年間がお金を貯めるステージで、50歳から80歳までが本当に好きなことをするステージです。
アメリカではこの流れが顕在化していると言います。日本でも大きな流れになると思います。