6,000億円貯め込むNHKが赤字予算?
1月15日、NHKが来期(2021年3月期)の予算と事業計画を発表しました。予算では149億円の赤字となるということです。その原因として2.5%の値下げをすることで事業収入が減少すること、インターネット同時放送の費用が約170億円増加すること、オリンピック関係の費用が膨らむことを挙げています。
これは恥知らずの予算と言えます。民間企業ならこんな予算発表しようものなら、経営者は無能として解任されます。事業を行っている団体がおめおめと赤字予算を発表すること自体が異常です。いろいろ遣り繰りして最終的には黒字の計画とするのが常識です。NHKの上田会長は、厳しい商社マンからお金の心配が必要ないNHK会長になっておかしくなったとしか思えません。
これはNHKにとって149億円の赤字など屁でもないからやれるのです。149億円の赤字でも現金収支は1,000億円くらい増加します。赤字予算は視聴者を欺くためのものです。
それは2019年3月期の決算を見れば分かります。損益計算書を見ると、一般企業の売上高に相当する経常事業収入が7,372億円(前年比+195億円)、経常事業支出が7,172億円(+77億円)で、経常事業収支差金(営業利益)200億円となっています。これに経常外収支や特別収支を加算し、当期事業収支差金(当期利益)は274億円の黒字となっています。
しかし、これに騙されてはいけません。本当はもっと儲かっているのです。営利活動は現金を増やすのが目的であり、本当の儲けは、キャッシュフロー(現金収支)に現れているのです。NHKのキャッシュフローを見ると、放送事業活動によって現金が1,216億円増えています。利益は274億円しか増えていないのに、現金は1,216億円も増えているのです。何故かというと、減価償却費など損益計算上は費用に計上されているけれど現金の支払いが必要ない費用がたくさん含まれているからです。例えば、建物や放送機器を一括払いで支払い、費用は耐用期間に応じ分割で計上する減価償却費などです。NHKの決算には減価償却費が808億円や将来の支払に備えた引当金など現金の支出を伴わない費用が合計942億円あります。その結果利益は274億円だけど現金は1,216億円(942+274)も増加するという事態になっているのです。これはNHKの本当の利益は1,216億円ということを意味します。利益率は16.5%です。これから見ると、来期損益上は149億円の赤字になっても、現金収支(投資前)は1,000億円以上の黒字になることが分かります。これがNHKがおめおめと赤字予算を出してくる理由です。そしてこれで2.5%の値下げがこたえている、ネット受信料が必要という流れを作ろうとしているのです。
NHKの総資産は1兆1,940億円で、うち自己資本7,666億円億円です。これは受信料収入を土地や建物に使ったもので受信料が形を変えたものです。民間企業のような銀行借入は全くありません。これまでの利益繰越金は1,161億円ですが、貯金が約4,800億円(現預金が780億円、有価証券3,027億円、長期保有有価証券994億円)あることからも、前述の赤字でも1,000億円現金は増える(投資前)ことが分かると思います。これ以外に関連会社に1,100億円以上の剰余金がありますから、合わせると約6,000億円貯金していることになります。この金額は下位銀行の総資産並みです。NHKは利益を少なく見せて現金を貯え込むという錬金術を行っているのです。
これでは家計は浮かばれません。日本の家計は収入が増えない中消費税などの税金や健康保険料や年金掛け金などが増え、困窮しています。その結果支出を控えるため消費は不振で、新聞購読率もどんどん減少しています。こんな中、収入が減ろうが、どんな低所得だろうがお構いなしに受信料を取り立てられるNHKだけはウハウハの収入状況なのです。それも受信料は収入に無関係に同額ですから、低所得者ほど厳しい家計となっています。低所得者は食費を削って受信料を払っている状態です。
こういうことを考えると、NHKの赤字予算は恥知らずなものです。NHKを必要とする国民はほぼいないと思います。今NHKがスクランブル放送に移行したら、契約する家計は30%程度(紅白の視聴率)だと思われます。残りの約70%の家計は本来なら払う必要がないのに受信料を払わされていることになります。NHKはこれが分かっているのなら、毎年余った現金は受信料支払い者に還元すべきなのです。NHK受信料と言う不条理な制度が非常識な怪物を作ってしまっています。そしてこの怪物を守護しているのが自民党の「放送法の改正に関する小委員会」(佐藤勉委員長)や衆議院・参議院の総務委員会に属する国会議員です。NHK受信料に不満な人たちは、選挙でこれらの議員に投票しないこと、N国党に投票することで、NHK受信料制度を廃止しましょう。