大学付属高校からの内部進学には大学入学共通テストを課すべき

「大学入試センター試験」が2020年1月の実施を最後に廃止され、2021年1月実施分から「大学入学共通テスト」に移行します。文部科学省は国語と数学に記述式問題を導入し、英語には民間試験の成績を入試に利用する新たな仕組みを設ける予定でしたが、公平な採点に疑義が生じ共に取りやめとなりました。

1990年に始まったセンター試験は、マークシート式でありながら、暗記だけでは解けない考えさせる設問があると高校の先生の間での評価が高かったようです。しかし、国は「先行きが予想しづらいこれからの社会では、知識の量だけでなく、自ら問題を発見し、答えや新しい価値を生み出す力が重要になる」という考えから、思考力や判断力、表現力をより重視した新しいテストに衣替えする方針を決めたということです。

この考え方自体は間違っていないと思います。社会に出たら、マークシート式の問題はありませんし、高校の試験に多かった穴埋め問題もありません。ひたすら記述式のみです。それも正解がない記述式問題と言えます。その答案の良し悪しは、集めたデータの質や解釈、その組み立てに懸かっていると言えます。この方式は大学入学後の試験に近く、高校と大学で評価の連続性がないことが問題です。従って、本来改革すべきは、高校教育であり、更には中学校、小学校教育およびその試験の内容となります。即ち、これらの段階から穴埋め式や〇×試験を廃止し、記述式にして行くことが必要となります。記述式の中では、答えは二の次で、自分はどう考える、判断するということをはっきり表明できることが大切となります。

ただし、記述式の場合、採点が難しいと言う問題があります。とくに共通テストとなると、順位付けに不向きです。ここから大学入試共通テストが必要なのかという問題が生じます。個々の大学の入試では、大学入学後の試験の方式(記述式)で入学試験を実施すればよく、採点も教授や助教授が採点すれば大学が欲しい生徒を入学させられます。これでマークシートや穴埋め式試験には強いけれど、記述式に弱い学生の入学を排除できます(こういう学生はいます。私がそうでしたから)。ならば、大学入試共通テストは不要とも考えられます。今後私立大学を中心として、大学入試共通テストを参考にしない大学が増えて行くと予想されます。

しかし、問題もあります。私大に多い付属高校から無試験で大学に進学できる制度(内部進学)です。中には大学付属の小学校に入学したらそのまま大学に進学できることになっている大学もありますが、これだと付属校生については大学に入る学力は全く問われないことになり、大学というより特権サークルとなります。大学は一定の学力がある者を受け入れる場であるとすれば、これは不条理です。私大の付属高校から無試験で進学して来た学生には、学力の劣る者が相当見られます。大学付属高校からの内部進学者には大学入学共通テストの受験を義務付け、一定の学力を有しない者は内部進学できない制度にすべきです。