NHK受信料値下げ、貯め込んだ6,000億円が原資

高市早苗総務大臣は2月5日、NHKに受信料の追加値下げなどを求める意見書をまとめたという報道がありました。
意見書は同日の電波監理審議会で承認され、閣議決定を経て、NHK予算案とともに通常国会に提出されるということです。受信料は2020年度までに、値下げや支払い免除対象拡大などで、2018年度受信料収入の6%を還元することが決まっていますが、総務大臣意見書では、NHKの2019年度末の繰越金見通しが1,000億円に上ることなどから「6%相当の還元にとどまらず、受信料の在り方について不断に検討する必要がある」と指摘しているということです。
昨年9月の安倍内閣改造の目玉である高市総務大臣になって、NHK制度の見直しが本格化してきました。今年1月末にはネット常時同時配信の実施に関して費用の圧縮と受信料の見直しを求めましたが、時間がなく費用の圧縮だけで終わりました。今回の意見書はそのとき積み残された課題を再度突きつけたものと思われます。本記事では、受信料値下げの根拠として、NHKの2019年度末の繰越金が1000億円を上回ることが挙げられていますが、それ以上に問題なのは、NHKが貯め込んでいる現金・預金・有価証券の合計が約6,000億円もあることです。内訳はNHK本体で約4,800億円、子会社で約1,100億円です。NHKは利益が出過ぎると受信料値下げを言われるため、利益は毎期100~200億円に留めていますが、費用に現金支出を伴わない減価償却費などが多額に含まれているため、最近では年間1,000億円を超える現金が余り、内部に貯め込んでいます。2019年度で見ると減価償却費が808億円あり、その他の現金の支出を伴わない費用との合計が942億円になります。その結果利益は274億円だけど現金は1,216億円(942+274)も増加しているのです。これはNHKの本当の利益は1,216億円ということを意味します。これが続いた結果、内部に約6,000億円と言う巨額の貯えを持つことになっているのです。このことを総務省もひた隠しにし、国会やマスコミも隠しています。また国民の代表であるはずのNHK経営委員会は容認しているのです。

家計は収入が増えない中で、昨年10月から消費税が2%引き上げられ、支出削減に乗り出しています。その結果消費税引上げ以降家計支出は5%前後の落ち込みとなっています。家計に負担の増加を求めるのならば、NHK受信料のような不条理な負担は軽減する必要があります。年収200万円以下、住民税非課税の世帯にまで毎月2,230円(一例)という負担を求める受信料制度は人道に反しています。所得に関係なく一律負担を強いていますので、高所得者には何でもない負担が低所得者は厳しい負担となっています。そしてNHKの実体を見れば、公共放送と言える内容は10%もなく、その他は民放と変わらない内容です。NHKは公共放送を語る巨大な民放と言うのが実体です。NHKが本当に国民に支持されていると言うならスクランブル放送化すべきです。支持されていれば多くの国民が契約し収入は落ちないはずです。多分契約するのは受信料徴収対象者の30%程度でしょう。これがNHKの実体なのです。NHKもこれが分かっているから、受信料制度を死守しようとしています。問題なのは、国民を守るべき総務省と国会が国民ではなくNHKを守ろうとしていることです。

NHK受信料制度の手本としてきた英国BBCも英国の保守党政権が受信料制度は不条理として見直しを公約しています。その結果、BBCは合理化に乗り出しています。NHKの受信料制度もいずれ見直しは避けられません。

高市総務大臣の意見を受け、国会並びにNHKは時代の要請に沿った改革を実施することを切望します。