「ポツンと一軒家」、犯罪のターゲットになる可能性

毎週日曜日午後8時からテレビ朝日で放送されている「ポツンと一軒家」という番組が好調です。同時間帯放送のNHK大河「麒麟が来る」、日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」を押さえ、視聴率トップだそうです。

内容的には、山の中の一軒屋を衛星写真で探し出し、その住人の生活や人となりを紹介するもので、この世界版であるテレビ朝日「世界の村で発見!こんなところに日本人」や都会版であるテレビ東京「家について行っていいですか?」に近い番組です。その中で毎回20%近い視聴率を上げ、ダントツの人気を誇る原因は、次のようなところにあると考えられます。

(ⅰ)家屋やビルが密集し、人に囲まれた中で生活している都会人に、それとは正反対の環境での生活への憧れや興味があること。

(ⅱ)一軒屋の住人は、都会での生活、特に会社やその他の職場での生活のように主従関係がなく、家族が協力・慈しみ合っているなど人間が本来持つ良い性向が溢れていて、心が洗われること。

(ⅲ)中には、家や庭園を自分で作る、ハイレベルな芸術・技巧の趣味を持つなど隔離された山中とは思えない住人がおり、驚きがあること。

(Ⅳ)かってこれに近い環境に住んでいた中高齢者が多数おり、コアなファンとなっていること。

最近のテレビ番組を見ると、筋書きがあるドラマやバラエティが不振で、筋書きがない素人が主役のリアリティものが人気です。もう視聴者が脚本家や放送作家の思惑に踊らされなくなっていることが伺われます。「ポツンと一軒家」は、やらせ感がなく、素直に見れる番組と言えます。

私も田舎の出身なので、放送で出て来る映像を見ると、子供の頃に帰ったような気持ちになります。こんな気持ちになる番組他にありません。

しかし、1つ気になっていることがあります。最近島根県や高知県の山の中の一軒屋に1人で住む70~80歳代のおばあさんが紹介されました。あの番組では、衛星写真を見せ、その後近くの集落で聞き込みをし、その道中の映像を放送していますので、一軒家までのルートが大体特定できます。また、生活の様子も紹介されるので、住人の行動様式も知ることができます。こうなると、犯罪者にとっては格好のターゲットとなります。あれだけの情報でもその周辺地域に住む犯罪者なら、十分辿り着くことが出来ます。県名を言わない、衛星写真でも県境は表示しない、ルートも目印になる地点は映さないなど場所が特定できない工夫が必要だと思われます。放送されたポツンと一軒家で、1件でも事件が起きればこの番組は終了なので、万全の配慮が必要です。