東京オリンピック、中止より1年延期でしょう!

コロナウイルスの影響で東京オリンピックが開催できないのではと言う声が出ています。現在の感染者増加の様子を見ると当然出て来るところです。この問題に関して、2月26日IOCの古参委員のディック・パウンド氏が「(五輪を開催するには)2か月の準備が必要になる」として、ウイルス感染収束の“デッドライン”は東京五輪開幕の2か月前となる5月24日前後とし、その頃までに事態が収束できていない場合は「中止を検討するだろう」との見解を示したと報道されました。これに対して日本サッカー協会の川渕三郎相談役が「“東京オリンピックの開催は待っても3ヶ月”という言い方は開催国開催都市に対するリスペクトに欠ける」とツイートしましたし、東京五輪大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は「IOCと我々は全く一致している。(開催判断の)タイムリミットはない。」と発言し、中止などありえないという姿勢を見せました。翌27日、パウンド氏は「五輪を1年後に延期することは不可能ではない」と述べたということが報道されると、橋本五輪相は「アスリートの観点から言えば、4年に1度の日程に合わせてしっかり準備を整えている」から「選手側にとっては、(1年延期は)あり得ない」と述べています。

この一連の報道を見れば、パウンド氏の発言は極めて理性的であり、日本側の対応が理性を欠いていることが分かります。パウンド氏は、収束することを願っているが、専門家が収束していないと判断すれば、何らかの決断をしなければならない、その期限はオリンピック開催日の2カ月前の5月24日前後になるだろう、と述べており、全く当然の内容です。それよりも注目すべきは、パウンド氏が「1年延期も可能」としたことです。多くの国々での報道が中止や代替開催となっているのに対し、パウンド氏は1年延期して開催することも可能だと日本に助け舟を出しています。これに対して橋本五輪相は、選手は東京オリンッピクに向けて調整してきているから、1年延期はありえないと述べています。延期するくらいなら中止だと言う意味だと思われます。

果たしてそうでしょうか?橋本五輪相の論理には、中止と延期が選手に与えるダメージの大きさの比較が欠けています。中止すれば今回オリンピックに出場することになっていた選手の中には、4年後のオリンピックには出場できない選手が多数出てきます。1年延期なら、今年の東京オリンピックの出場権を獲得していた選手が出場できることにすれば、こういう残念な事態は防げます。もちろん、それまでに選手の入れ替えをおこなうことも可能です。しかし、そんなに大幅な入れ替えにはならないはずです。このように中止でなく1年延期にすれば多くの選手が救われるのです。確かに調整はやり直しになりますが、1年あれば問題ないはずです。

また中止になれば巨額の投資をした準備が無駄になりますが、1年延期ならこれを活用できます。チケットの販売や警備などの準備はやり直しになりますが、これは対処可能です。このように1年延期の方が日本や東京が被る損害を軽くできるのは明らかです。

このように考えれば、橋本五輪相の延期するくらいなら中止した方がましとも取れる発言は軽率と言えます。

日本は東京オリンピックに関して、最悪1年延期を目標に動くべきだと思います。