公正取引委員会、楽天よりも携帯3社を摘発すべき
2月28日、公正取引委員会(公取委)は楽天が3月18日からの実施を明言している送料無料化プランに対して緊急停止命令を出すよう東京地裁に申し立てたという報道がありました。公取委が何故この問題にシャカリキになるかは理解できません。国民が被っている損害の大きさから言えば携帯3社の寡占および優越的な地位の利用による家計からの通信料金搾取の方が重大です。
楽天の場合、この規則が嫌な出店者は他のモールに移ることが出来ます。アマゾン、ヤフー、など選択肢は複数あります。もし楽天が巨額の退店費用を課していればこれを撤廃させればよいのであって、各モール会社の特徴をなす出店条件にまで介入するのは行き過ぎだと思われます。それに公取委がこれを変えさせたとしてもその利益を受けるのは少数の出店者です。逆に不利益を被る出店者もあります。
公取委が優先して取り組むべき問題は、楽天問題よりも携帯3社による家計収奪問題です。携帯3社は寡占であることを利用し、3社が同じような契約内容とし、料金を高止まりさせています。更に高額な解約料や事務手数料を課し、ユーザーが乗り換えを躊躇うようにしています。これに対して主管の総務省が何回か改善措置を命じましたが、却って携帯3社の収奪は強化されています。それは総務省の事務局や有識者会議が携帯3社の高収益の恩恵に預かるメンバーで構成されており、一見携帯3社に厳しそうな内容の措置であっても、実際は骨抜きにされているからです。例えば、2年縛りの解約手数料は9,500円から1,000円に下げられましたが、これは新規の契約だけです。従って、これまでの契約者は9,500円のままに据え置かれています。これなどおかしいことです。解約料9,500円は合理性がないと判断されたわけだから、これまでの契約も1,000円にすべきなのです。少なくとも更新時期が来た以降は1,000円に変更させるべきものです。それを放置しています。また乗り換えようとすれば、事務手数料として6,000円以上取られることになっており、これも解約防止策となっています。乗り換えに要する事務はパソコンで簡単に済む内容であり、10分もかかりません。これで3,000円も取られたら時給1,000円以下で働いている人は浮かばれません。これなど適正料金に下げさせる必要があります。
携帯3社の直近決算は、売上高約13兆円、営業利益約3兆円、営業利益率約20%です。ライフラインを扱う公益事業としてはあり得ない利益状況です。同じ公益事業である電力9社が売上高約18兆円、営業利益約9,000億円、営業利益率約5%なのと比べると、暴利は疑うべくもありません。公益企業で20%の営業利益率が許されるのであれば、電力企業も営業利益20%を目指して料金を引き上げてきます。電力企業も携帯3社の解約防止対策である2年縛り契約を始めています。更に電力ばかりでなくガスや鉄道なども営業利益20%を目指します。そうなれば家計は干からびてしまいます。
携帯3社はこの利益を何に使っているかと言えば、ソフトバックグループを見ると、海外での巨額のM&Aや10兆円ファンドへの出資金などです。即ち、家計の資金が海外に流出しているのです。更にソフトバンクグループは税金も払っていませんから、日本への貢献は何もありません。ソフトバンクグループが日本に本社を置くのは、携帯電話事業で資金が流入してくるからの1点のみです。このように通信3社による家計収奪は、日本の富を海外に流出させているのです。
公取委としてはここを摘発しないで他所を摘発するなど優先順位を間違っています。「巨悪を剔抉する」姿勢を望みます。