楽天携帯料金で明らかになった携帯3社の回線使用料の異常
楽天モバイルが4月8日サービス開始の自社回線を使った携帯料金を発表しました。
通信使い放題で月2,980円ということです。この料金は額面上携帯大手3社の大容量プランに匹敵し、これとの比較になります。まず、auの使い放題プランである「auデータMAXプランPro」との比較ですが、こちらの正価は2年縛りありの場合で7,480円、その他家族で使うなどの条件が付いて最安値は5,480円となります。ドコモのギガホは正価6,980円で、その他条件が付いて最安値4,980円です。ソフトバンクは正価7,480円で、その他条件が付いて最安値4,480円になります。最安値と比較しても、auより2,500円、ドコモより2,000円、ソフトバンクより1,500円、楽天モバイルが安くなる計算です。
このように楽天モバイルの料金は、額面上は他社より大幅に安いことは間違いありません。しかし、楽天モバルの場合、自社基地局の数が少なく(3月まで約4,400局の予定。大手は20万万局以上。)、現在自社回線で通信できるのは東京都、神奈川県、名古屋市、大阪府、京都府、神兵庫県の一部のようです。自社回線が使えないエリアはKDDIの回線を使うため、KDDIに通信回線使用料(ローミング料)を支払うことになるようです。そのため、楽天モバイルの使い放題というのは自社回線が使えるエリアに限りということになり、大部分の人たちにとっては2Gまでの料金が2,980円ということになります。これは誇大広告で、消費者保護違反になってもおかしくない表現です。2021年3月までには全国を自社回線で賄えるようにする計画とのことですから、この料金の評価はそこからとなります。なんとも楽天らしい乱暴なやり方です。
この料金設定に対してマスコミでは、「期待外れ」という論評が見られます。しかしこれは現在の楽天モバイルができる精一杯のところであり、こういう論評をする記者はそもそもどんな期待をしていたのでしょうか?是非期待していた内容を聞きたいものです。更には「落胆モバイル」というツイートを引用し揶揄している通信ライターもいますが、これは携帯3社から資金援助を受けての御用記事とみるべきでしょう。
楽天モバイルの料金発表で分かったことは、携帯3社のローミング料金が異常に高いことです。楽天モバイルの場合、自社回線が使えないエリアはKDDIの回線を借りることになりますが、この使用料が1ギガ当たり500円というのです。10ギガで5,000円です。KDDIの場合使い放題プランの定価が7,480円ですから、ローミング料が如何に高いか分かります。通信回線コストは、設備投資や運用コストで決まり、使用する通信量とは無関係です。従って使い放題という料金設定が普通なのです。楽天モバイルの2,980円という料金は、楽天モバイルの通信回線コストを想定加入者数で割って算出したものと思われ、これが本来の料金設定方法です。KDDIを含む通信3社は、通信回線コストに巨額の利益を潜らせており、これが営業利益率20%という公益企業にあるまじき利益の原因となっています。本来通信回線使用料は、(通信回線コスト+5%の利益)に設定し、携帯3社およびMVNOが同一の条件で競争できるようにすべきものです。携帯3社に今のようなべらぼうな通信回線使用料の設定を許せば、MVNOはやっていけなくなるばかりか、携帯3社はMVNOに回線を貸すだけでぼろ儲けの状態となります。
携帯3社が家計から年間13兆円というお金を通信料金として収奪しているため、家計は困窮を極めています。その分節約を重ね、食費や日用品への支出まで抑えて凌いでいます。国民の財産である電波の使用を許した結果、こういう搾取に会うのは余りにも不条理です。
こういう状態を作り出した総務省は、責任を以て通信回線のコストの透明化を図り、通信回線を持てば家計からいくらでも収奪できる制度を改めさせるべきです。