東京オリンピックの1年延期は3月中にも決定される!

東京オリンピックが延期される可能性が大きくなってきました。延期は2月26日にカナダのIOC委員のディック・パウンドが言い出してから、必然の流れでした。この間日本オリンピック・パラリンピック組織委員会(オリパラ委員会)の森会長や武藤事務総長は、延期はあり得ないと強調していましたが、どうするかはコロナウイルスの感染動向に懸かっており、2人の意思は関係ありません。コロナウイルスの感染はその後も拡大を続けており、3月11日にはWHOがパンデミック宣言を出し、3月13日には米国のトランプ大統領が非常事態宣言を出しました。トランプ大統領は今後8週間がピークだろうと言っており、収束に向かうのは5月中旬からということになります。防疫体制が整った米国でさえこうですから、米国より防疫体制が劣る国は更に長引くことが予想されます。そうなると収束の時期は見通せないことになります。

東京オリンピック開催の可否の最終決定期限は、開幕(7月24日)の2カ月前の5月下旬と言われていますが、米国が5月中旬までピークが続くと予想している以上、5月下旬まで引き伸ばす意味はありません。そのため日本でも延期決定の環境づくりが進められています。3月11日、オリパラ委員会理事の高橋治之氏が個人的見解と断りながら米国ウォールストリート・ジャーナルに1年または2年の延期が現実的な選択肢と述べました。この発言が個人的意見以上の意味を持つことは承知の上での発言です。予定通り開催できないことを見越して、中止だけは避けようとの考えだと思われます。これに対して武藤事務総長は即座にこれはあり得ない否定し、翌日には森会長が記者会見を開いてオリパラ委員会は延期の考えは持っていないと否定しました。これらの行動は高橋理事、武藤事務総長および森会長間で話し合われ、役割分担した小芝居と考えられます。

そして1年延期を決定付けたのは3月12日のトランプ大統領の発言です。報道によると、トランプ大統領は東京オリンッピクについて「これは私のアイデアだ」と前置きしたうえで「彼らは1年間、東京オリンピックを延期するかもしれない。もしそれが可能であれば、彼らはそうするかもしれない」「そっちの方が、人のいないスタジアムよりいい。1年間延期した方が無観客でやるよりもいい」と話したとなっています。日本側に配慮した言い方であり、それまでに日本政府または関係者と東京オリンッピク延期についてやり取りがあったことが伺われます。トランプ大統領は13日、英国を除く欧州各国からの米国入国を禁止する措置を発表しましたが、この際当然日本からの入国禁止も検討されたと思われます。それを察知した日本政府および関係者は東京オリンピックがあることを理由に、なんとかそれは止めて欲しいとトランプ大統領に働き掛けたことが予想されます。その結果、コロナウイルスの感染状況だけを考えれば日本からの入国も禁止すべきところ、東京オリンピックを中止に追い込んだ主犯になりたくない、またこれにより安倍首相を追い込むことになることを避けたいトランプ大統領は、日本を入国禁止対象から外す決定をしたのでしょう。しかし、今後日本では検査数の増加に伴い感染者数が増加することは確実であり、米国としてはそう遠くないうちに日本からの入国を禁止せざるをえません(3月14日感染者数が日本に近い英国からの入国も禁止)。そのため、東京オリンピックの1年延期の決定を急がせようとしていると考えられます。

このことは3月13日のトランプ大統領と安倍首相の電話会談のテーマだったはずです。安倍首相としては、中止は最悪であり、延期に追い込まれたという形も望ましくなく、コロナウイルスの世界的感染拡大を受けて日本が主体的に延期を決めたという形に持って行きたいと考えていると思われます。従って、延期の決定は早い方が良く、日本政府として3月中に延期を決め、IOCの承認をとるという動きになると考えられます。