安倍首相、黒川検事総長が実現しないと夜も安心して眠れない?

コロナウイルス感染問題に安倍政権の対応が遅れたのは、黒川東京高検検事長(黒川検事長)の定年延長問題で頭が一杯で、この問題の深刻さに気付かなかったためと思われます。

コロナウイルス対策は、専門家の勧告に従って正しい手続きをやればよいのですが、これは安倍政権が一番不得意なものです。安倍首相を初め、安倍政権の幹部は正解なんか糞くらえですから、そもそも正解なんか求めていないし、正解に基づき手続きを進めると言うのが不得意なのです。得意なやり方は、自分の思い付きを実行に移すことです。安倍首相は、自分が言えば嘘が真になる、黒いカラスでも自分が白いと言えば、周りの人は白いと言うことを知り、嘘か本当かはどうでも良くなった感があります。森友事件や家計学園事件で自分の思い通りなったことでその思いを強くしたと思われます。そして黒川検事長定年延長事件に至りました。これは安倍首相が一人で検察法を改正したとの同じことであり、近代的な法治国家では起きりえないことです。これが日本で起きたということは、日本は似非法治国家だということになります。日本は真の法治国家だと信じていた人たちにとってはショックな出来事でした。

その兆候はゴーン逮捕事件からありました。米国の裁判所では、同じ事件を日産、ゴーンへの罰金とゴーンの米国での取締役就任禁止で処理しています。要するに商事事件であり、刑事事件ではないという判断です。日産取締役会がゴーンを会長から解職する、ゴーンに損害賠償を求める、日産の株主がゴーンを取締役から解任するなどで対処すればよい事件でした。それがゴーン逮捕に至ったのは、東京地検特捜部が2018年6月から使えるようになった司法取引制度の威力を誇示したかったからです。そしてこの司法取引制度は黒川事務次官が前職の法務省官房長時代から国会で法案化に尽力したものでした。従って、司法取引制度が脚光を浴びることは、黒川事務次官(次期東京高検検事長)の評価を高めることになり、検事総長就任を確かなものにすることでした。これがゴーン逮捕と言う暴走になった根本原因です。この逮捕がおかしいことは、黒川検事長の庇護者である安倍首相が「この問題は日産社内で片付けてほしかった」と言ったことからも分かります。もし黒川検事長定年延長が黒川検事長の責任であるゴーン逮捕、ゴーンのレバノン逃走の責任を最後まで取らせる意味なら理解できます。しかし真の狙いは違うと思います。これまで黒川氏は法務省官房長及び事務次官として、安倍政権幹部(甘木衆議院議員)や安倍政権に尽くした官僚(佐川元財務局長)などの不起訴に貢献したと言われており、検事総長にして今後もこの役割を担わせたいということが真の狙いだと思われます。先ずは現在捜査中の河井杏里参議院議員の公職選挙法違反事件の捜査に手心を加えさせること(首相補佐官を務めた河井克行衆議院議員の逮捕を阻止すること)が喫緊の狙いでしょうし、更には菅原衆議院議員の公職選挙法違反事件をもみ消すことも狙いの1つと考えられます。そして最大の狙いは、安倍首相退任後に安倍首相および政権幹部が在任中の事案で逮捕・起訴されないようにすることです。加計学園事件や森友学園事件、桜を見る会など安倍首相の在任期間には危ない事件がいくつか見られます。これは不起訴または捜査に至っていませんが、検察がその気になれば再捜査、起訴に至ってもおかしくありません。黒川氏はこういう事件に殆ど関与していると思われます。ということは共犯であり、黒川検事総長ならば再捜査もないし、逮捕や起訴はありません。一方他の人が検事総長になれば、再捜査や逮捕、起訴があり得ると考えられます。これらの問題は不起訴の事案であり、裁判で無罪になった一事不再理の事案ではありません。従って、安倍首相にとっては、黒川検事総長を実現しないと退任後安心して眠れないということだと思われます。

これが安倍政権が黒川検事長の定年を延長し、黒川検事総長の実現を強引に進める理由だと考えられます。