東京オリンピック、選手のボイコット宣言の前に延期を決定すべき

東京オリンピックに関して日本は予定通り開催との発言を繰り返していますが、これに対して世界から異論が出ているようです。先ずは3月13日米国トランプ大統領が盟友安倍首相のために「1年延期」の助け船を出しました。その後16日にG7テレビ電話会議で安倍首相は「東京オリンピックは完全な形で開催する」という玉虫色の表現で、G7各国の支持(というより反対しないということ)を取り付けたようです。この趣旨は、未だ5カ月もあるので、それまでにコロナウイルスが収束すればそのまま開催できるように準備を続けるし、収束しなければ延期して開催するから支持して欲しい、ということだと思われます。要するに中止しないということへの支持を取り付けるための発言だったと思われます。

しかし、安倍首相のこの発言とこれに続く17日IOCの予定通り開催方針との表明が各国関係者や選手の反発を呼ぶこととなりました。スペインのオリンピック委員会の会長ははっきりと延期すべきと表明しましたし、カナダや英国の選手の間からは、準備もままならない中でどうして予定通り開催などという無神経なことが言えるのかと反発の声が上がりました。これを受けIOCのバッハ会長も19日「もちろん違うシナリオは検討している」と延期も考えていることを示唆しました。3月21日の報道を見ると、米国水泳委員会が1年延期を求める書簡をIOCし、ノルウェーオリンピック委員会も延期を要請し、英国陸連会長は延期すべきと発言したということです。その後米国陸上連盟やブラジルオリンピック委員会も延期を求める声明を発表しました。米国水泳委員会が1年延期を要請したといことは、来年7~8月に予定されている世界水泳福岡大会の延期も考えてのことと思われます。

こう見て来ると、東京オリンピック延期の外堀は埋められてきたと思われます。このような状況でもJOCの山下会長は予定通り開催の主張を変えていないようです。19日にJOCの山口香理事が「延期するのが妥当」という意見を述べたことを聞くと「1個人の発言であっても極めて残念」と述べ、不快感をあらわにしたということです。自分がIOCのバッカ会長らと話合い予定通りの開催の方向で準備を進めると言う方針で一致したのに、JOCの内部から異論が出て恥を掻いたという思いがあったのでしょう。

この流れでは、予定通り開催と言い続けることが東京オリンピック開催を難しくするということに気付くべきです。世界がコロナウイルスと戦っている中で、予定通り開催と言い続けることは、日本は人命よりもオリンピックが大事な国と採られかねません。オリンピック予選が延期されている、練習場が封鎖されている中で、東京オリンピックが予定通り開催され、選手がベストの状態で大会に臨むのはどう考えても無理です。コンデションには身体面ばかりでなくメンタル面もあります。現在より深刻なのはメンタル面だと思われます。

これ以上日本が予定通り開催と言えば、オリンピックに出場が決定している選手の中からボイコット宣言が出かねません。そうなると多くの選手が同調すると思われます。こうなると延期はなく、中止です。選手に寄り添えないオリンピックは中止される運命にあります。

追伸:このブログは22日に書いたものです。23日の報道では、IOCは延期について1カ月以内に結論を出すと表明したということです。一方中止はないと言っていますので、延期するとすればいつにするかの検討だと思います。日本では、1年延期だと東京ビッグサイトや幕張メッセ、多くのオリンピック会場が既に他の予約で埋まっており使えないなどと言われていますが、それは大きな障害にはなりません。オリンピックの為と言えば予約している団体も仕方ないねと予約の変更に応じてくれます。福岡市での世界水泳や米国での世界陸上もしかりです。IOC傘下の米国水泳委員会や国際陸連の会長が延期を主張しているのですからそれらの変更は前提にあります。従って、1年延期には大きな障害はないと言えます。心配はコロナウイルスが燻り続けることですが、1年もあれば心配ないレベルまで収束していると思われます。延期決定は早い方が良いので、3月中にもすべきだと思います。そして世界はコロナウイルスとの戦いに専念すべきです。