福岡市油山の遭難事故、このままでは引き続き起こる!

3月22日、福岡市の油山で68歳の女性が山中で道に迷い、遺体で発見されたと言う報道です。2018年には90歳代の男性が遭難死しています。油山は福岡市の城南区、早良区、南区に跨る標高597mのなだらかな山ですが、山域全体は広くなっています。一部は市民の森として整備されており、管理事務所がある所からの登山道で遭難することはないと思います。しかし、登山道には他に幾つかのルートがあり、それらでは案内板が整備されておらず、遭難の原因となる箇所が幾つかあります。私は、梅林方面から最初に上ったとき、遭難しそうになりました。本来なら右手に出るべきところにその旨の案内版が無く、道なりに進み谷底に降りてしまったのです。これまでに私と同じように間違って下りた人が多数いたと思われ、下りの道が出来ていました。昼間だったからなんとか抜けられましたが、夕方だったら遭難していてもおかしくなかったと思います。だから2018年の遭難や今回の遭難は起こるべくして起こったと思っています。同じ経験は飯盛山から高祖山縦走でもしました。ここでは案内版は整っているのですが、道が分岐する場所にある案内版の→がどっちを指しているか分からないのです。福岡市は一度初めての登山者の視点で案内板を見直す必要があると思います。

そこで、ヒントとなればと思い、以下に以前京都東山山中で見た登山道の案内板を紹介します。

(2018年4月16日ブログより引用)京都市東山山中で出会った案内板

登山というより山歩きの話です。山の尾根道や自然歩道を歩いていると、必ず道が分岐しているところに出会います。その場合、よく管理されている尾根道や自然歩道の場合、板に白または黒のペンキで行先を矢印で示した案内版があります。しかし、分かれる道の角度が小さい場合など矢印がどちらを指しているのか迷う場合が多々あります。また、案内板設置後時間が経過していると、案内板の文字や矢印が良く分からなくなっているものも見受けられます。そういうわけで、せっかく案内板があっても困ることが何度もありました。

こういう中で、京都市東山山中で出会った案内板には感心しました。そのときは、滋賀県の坂本からケーブルカーで比叡山に登り、比叡山からロープウェーとケーブルカーで京都の八瀬に降りて、八瀬から銀閣寺に行く予定だったのですが、2月末で八瀬方面へのロープウェーとケーブルカーが冬季休止中だったため、比叡山から歩いて銀閣寺まで行くことにしました。時間的には3時間くらいで、下りと登りを3、4回繰り返すなかなかタフなコースなのですが、東山山中あたりまで来ると京都市内に降りる道があり、分岐箇所が出てきます。でもそこは京都市ですから、ちゃんと案内版がありました。その案内板はアルミ板で、音楽演奏者の譜面台のように置いてあり、行先と分岐した道が印刷され、行先に通じる道には矢印を引き先端に〇、もう一方の道には矢印のない線を引き先端に×が書かれていました。この案内板は、多くの案内板の問題点を解決する工夫がしてあり、感心しました。案内板を必要となる所には、行くべき道と行ってはいけない道があるわけですから、この2つの面から案内するのがベストなわけです。この案内板は今まで出会った中でベストです。こういうことを考え付く京都は凄いと思います。

この京都の案内板の考え方を用いれば、次のような問題も解決できます。

登山やトレッキングに行く場合、登山道に入るまで人里の道路を歩く場合があります。その場合よく「登山道は300m直進、左折」などという案内板があるのですが、その途中にいくつか左折する道があり、距離を正確に測って歩いているわけではないので、どこで左折すればよいのか迷ってしまいます。これなんかも案内板に300m区間にある左折になっている道を全部描いて、左折してはいけない道に×を付けてくれれば、迷わなくてすみます。案内板があるだけでも進んだ自治体あるいは地域なのですが、もうひと工夫あれば有難いです。