コロナ対応で分かった日本の医者が優秀だったのは医学部入試まで
コロナ感染拡大が止まりません。原因はPCR検査を抑制したことです。感染が出始めたとき、熱があってPCR検査をして欲しいという人たちに対して保健所は、いくつかの基準を満たさないからといって検査を受けさせませんでした。そうなると感染者が市中に留まることになり感染が進みますし、症状があっても検査の依頼をしない人が出てきます。その結果、多数の感染者が通常の社会生活を送っていたことになります。そうなると感染者が増加して行くのは誰だって予測できます。
日本の感染症対策チームは、感染が判明すれば、法律上感染症の指定病床に収容しなければならず、病床が足りなくなることを危惧したということですが、韓国ではそのとき既に軽症者はホテルなどに収容することをやっており、日本でも同じことをやればよいと分かったはずです。その後PCR検査不足を指摘されると、PCR検査装置が足りないとか、要員が足りないと主張しました。政府がPCR検査に保険適用を認め、民間でも検査できるようにした後も、医師が検査に出す場合は保健所の判断が必要とし、保健所では旧来の基準を適用して検査数を絞り込んで来ました。その結果、検査件数はなかなか増加しませんでした。その結果が今の状況です。
感染者を市中に留めれば感染者が増加し、本当の医療崩壊をもたらすことは容易に想像できたはずです。そもそもコロナ感染対策としては、というより感染症対策としては、感染者を片っ端から探し出し、できれば感染症指定病床、病床が足りなければホテルなどの民間の施設に隔離するしかないことは誰だって分かります。日本の場合、お隣の韓国でこのことをやっていたのですから、知らなかったという言い訳は通用しません。やりたくなかったか、思考が停止した、かのどちらかです。たぶん思考が停止したのだと思います。というよりそんなことは感染症対策の専門家である自分たちの担当ではないと考えていたと思われます。感染症専門家は、感染症という医学の一分野の医師兼研究者であり、病院の内科、外科、眼科、胃腸科などの各診療科の医師と変わりません。病院の各診断科の医師が専門外の症状については所見を述べず他の診断科に回すように、感染症専門家も感染症という病気に関する所見以外は述べないし、考えないのが普通なのです。従って、日本の感染症専門家は、与えられた条件の中で医療秩序を保つためには、PCR検査を抑制するしかないと考えたようです。もし自由な議論が許される世界であれば、それでは感染者が増えて最終的には医療崩壊どころか犠牲者を増やしてしまうという意見が出るところですが、感染症専門家の世界では白い巨頭よろしくヒエラルキーが出来上がっており、偉い専門家が言ったことと違うことは言えないという雰囲気があるように感じます。これが最後までPCR検査を抑制し続けた原因です。また医学界ではお互いの専門分野には口を出さないというルールがあり、臨床医としておかしいと思っていても声に出せなかったものと思われます。
私も退職後医者にかかることが増えましたが、正直優秀な医者だなと思った人はいません。私がいたビジネスの世界の方が遥かに優秀な人が多かったように思います。特にビジネスの世界では、毎回形のないたくさんの問題にぶつかりながら最善の結果を求めて奮闘します。扱うデータも膨大です。それに対して医師の診断は、簡単な問診と定型の検査だけで診断します。え、なんでそれだけの情報で分かるの、と言う感じです。そしてあとは診断結果に紐づけられた薬を処方するだけです。
これなら、たくさんの質問を書いた問診票と検査データからAIで診断した方が正しい診断が出せるような気がします。医師の中には気難しい人もおり、診察には我慢を強いられる場合もありますが、AIならこんな嫌な思いをしなくて済みます。この時代は必ずやって来ると思います。医師が知っている病気の知識とそれを診断し治した経験数は僅かなものであり、これで信頼せよと言う方が無理です。正直、社会全般の中で日本の医師のレベルは高い方ではないと思います。
従って、そういう医師に感染症対策の最終意思決定を任せてはいけないのです。専門家には専門家としての科学的、医学的知見を提供して貰い、最後の政策決定は、行政の責任者が行う必要があります。今回のコロナ対策の場合、安倍首相が専門家の意見を聞かず学校の一斉休校を要請し、国民の多くの反発を受けたことから、感染症専門家に政策決定まで丸投げしました。その結果感染専門家はPCR検査抑制という方針を貫き、感染者の増大を招きました。今回のコロナ感染拡大の最大の責任は安倍首相の無能さにありますが、医師の政策決定能力の低さも露わになりました。我々には医師は優秀と言う認識がありますが、それは医学部入試までのことだったと考えた方がよさそうです。