公務員の甘い処分は身分保障制度の悪用
公務員が不正や不当な行為をした場合の処分が甘い例が続出しています。
最近も経済産業省エネルギー庁で、金品受領問題を起こした関西電力に対し業務改善命令を3月16日に出しましたが、命令前に必要な電力・ガス取引監視等委員会への意見聴取が必要なところ忘れたため、これを隠蔽するため聴取を命令前の同月15日に行ったという偽った公文書を作成し実行したという事件がありました。課長級職員が実行を指示・決裁し、部長級職員もこの報告を受け承認していたということです。これに対して、経済産業省は同月31日、この課長級職員を国家公務員法に基づく懲戒処分の戒告に、部長級職員や事務方トップの安藤久佳事務次官ら6人を省の内規に基づき処分したということです。
この事件は法令に違反しており、業務改善命令も無効となる重大な職務違反行為です。民間なら先ず今後昇進昇格はあり得ない処分となります。しかし、公務員の場合、これらの処分が形式だけの処分になっています。今回の処分につき経済産業省が参考にしたという森友事件は公文書偽造と言う本来なら刑事事件に該当する事件なのに、関与した多くの官僚は甘い処分で済ませ、その後まもなく昇格しています。民間においては、処分=昇格の道が絶たれる、というのが常識です。処分には間違った行為に対するペナルティの意味と他の社員に対する警告の意味があります。公務員の処分には、この両方の効果がありません。即ち、誰も痛くも痒くもないものになっています。だから、その後も引き続き起こります。
公務員は手厚く身分が保障されています。この内容は、公務員は国民全体の奉仕者であることを徹底するため、市民や政治家などからの不当な要求から守ることです。公務員が違法や不当な行為をした場合に、公務員が受ける処分を甘くすることはその内容ではありません。なのに処分をする公務員が自分が処分を受ける場合のことを考えて、処分をできるだけ甘くする運用を行ってきたため、今では名ばかり処分となっています。その結果、公務員の違法や不当な行為が蔓延し、休まず・遅れず・働かずと言われるようなサボタージュ公務員が増殖しています。もちろん多くの公務員は国民の全体の奉仕者であることを自覚し、使命感に燃えて職務に励んでいると思います。しかし悪貨は良貨を駆逐するで、組織全体ではサボタージュ派が増えて行くのは社会的現実です。
公務員の身分保障は重要であり、厳格に守られる必要がりますが、そのためには公務員が違法や不当な行為をした場合の処分は厳格に行なわれる必要があります。それは最低でも民間並みということであり、実際はそれ以上の厳しい処分基準が求められます。