国債100兆円出してでも休業補償付き休業命令にすべき
コロナ感染拡大で、国民は青息吐息です。非常事態宣言が出され、多くの中小企業、自営業者は法的効力がない営業自粛要請で、実質的に営業ができない状態に追い込まれています。その結果事業者だけでなく、従業員も収入が無くなりますが、政府は補償しないと言っています。このような状態でどうして生きて行けというのでしょうか?これは休業要請ですることではありません。
政府が本当に非常事態だと考え、1カ月の休業でコロナを封じ込められると判断しているのなら、休業命令を発し、その間休業補償を行うべきなのです。英国は従業員の収入の8割を政府が補償し、強制的に休業させています。これはが政府が採るべき責任ある態度です。
安倍政権がこれを拒んでる原因は、(安倍首相の無能さを除くと)この原資が100兆円くらいかかり、国債残高が膨らむことだと思われます。2019年度末で日本の国債残高は893兆円に達し、今期コロナ対策で発行される分を加えると、今期末には1,000兆円に達すると予想されます。これが重しとなって休業補償を伴う休業命令に踏み出せないのです。
この結果苦しむのは、中小企業、自営業、非正規社員、フリーランス、アルバイト、パートなど只でも恵まれない人たちです。今の自粛要請で収入の道が絶たれ、お先真っ暗の状態だと思われます。政府の最大の責務は、国民の生命を守ることであり、今こそその責務を果たすときです。
実は日本の場合、国債の残高なんか気にする必要は全くないのです。それは1,000兆円の国債残高になっても、そのうち半分以上は日銀が保有しているからです。日銀保有分については無いのと同じなのです。即ち実質的国債残高は日銀以外が保有する約440兆円なのです。日銀の約560兆円(今期100兆円増えたとして)の国債の債務者は国ですが、日銀は国の子会社(財務省が55%出資)ですから、日銀が債務を取り立てることはありません。即ち、実質的に債権者と債務者が同じなのです。ということは、560兆円の債権と債務を帳消しにしても何ら問題は起きないことになります。日銀が560兆円の支払いを求めて国を提訴することはありません。それは日銀はこの560兆円の国債を取得するために誰かから借金をしているわけでなく、日銀に金を返せと言う人もいません。日銀はどうやって560兆円の国債を買えたかというと、日銀券というお札を印刷したからです。ということは日銀券は債務者証書でもありますから、日銀券(紙幣)の保有者は、日銀に紙幣を帰して返済を迫ることが出来ることになりますが、紙幣の代わりに返すものは存在しないのです。要するに紙幣の担保は日本と言う国ということになります。こんなこと考えていると夜も眠れなくなりそうですが、国債残高を考えるときにはここまで考える必要があります。だから、国債問題を家計や個人の借金の感覚で考えるのは間違いということになります。
国債残高の管理がなぜ必要かというと、日銀の国債残高が増えるということは、紙幣が増刷されるということであり、場合によっては紙幣が国中に溢れ、ハイパーインフレを起こす可能性があるからです。そしてこれは歴史上何回も起きているのです。だから財務省は国債の残高が多過る、国債残高を減らすために増税すべきと口うるさく言うのです。これは先ほど述べた国債の実体を知った上で、牽制の意味で言っているところがあります。
現在の日本の状況を見ると、お金が消えてなくなったわけではなく、お金が流れなくなった状況です。この状況でお金を流すには政府が国民に直接お金を支給するしかないのです。例えば、地震で水道管が各所で破断し断水したとします。復旧には3カ月を要します。その間どうするか?よく行われるのは自衛隊の給水車が出動し、必要な水を供給することです。コロナで収入が断たれた状況はこれと同じなのです。自衛隊の代わりに政府が出動し、水の代わりに現金を支給する必要があるのです。自衛隊が給水した水を返せと言わないように、政府も返せと言わないのが原則です。また給水した水の調達コストが無料であるように、政府が支給する現金(国債で調達)も調達コストは無料なのです。だから気にする必要はないのです。
国債残高が1,000兆円になるのが気になるというのなら、現在日銀が保有している国際残高460兆円を帳簿から消し去れば良いのです。誰も文句を言わないし、世の中何も変わりません。
私は、日銀保有の560兆円の国債はこの際一挙に償却(帳簿から消し去る)すべきだと思います。そうしないとこれに制約され、コロナ対策が不十分なものとなります。その後ある税制改革を行えば財政は健全化します。(これについては後日書きます。)