これで携帯電話の通話料金が30秒10円になる!高市総務大臣good job!

6月12日、総務省の電気通信紛争処理委員会は、NTTドコモが格安スマートフォン事業者日本通信の音声通話サービス用に貸し出している回線利用料について、引き下げが妥当とする答申をまとめ総務相に提出した、との報道がありました。これはビッグニュースです。これにより携帯電話の通話料金が大きく値下がりすると思われます。

この問題は格安携帯電話事業(MVNO)を行う日本通信が昨年11月に総務大臣宛に裁定を申立て、今年2月高市総務大臣は日本通信の申立てを認める裁定を出しました。手続きはこれで終わりではなく、電気通信紛争処理委員会の審議が必要だったのです。この結論が6月12日に出たということです。

この問題の経緯はこうです。日本通信は1996年ドコモから回線を借りて携帯電話事業に参入しました。このときの回線使用条件はドコモが決めるものとなっていました。その結果、回線コストが下がっても長い間回線使用料が下がることはありませんでした。そのため日本通信でサービスを工夫し、料金を下げる余地は小さくなっていました。そこでデータ通信については2007年に回線使用料を原価に適正利潤を加えたベースに改定するよう総務大臣裁定を申請し、認められました。それにより、MVNOのデータ通信料金は大きく値下がりすることとなりました。

音声通話サービスについては、2010年にドコモと回線使用契約を結び開始しました。しかし回線使用料はドコモが決める条件によるものとなっていたため、以前のデータ通信と同じ問題がありました。その後回線コストは確実に下がっており、ドコモは2014年通話定額サービスの提供を開始し、今では5分通話無料サービスなども提供しています。しかし日本通信のようなMVNOは回線使用条件により30秒20円と言う従量制料金しか採れなかったのです。これが通信回線を持つ携帯3社の利益の源泉となり、携帯料金が下がらない要因の1つとなっていました。日本通信は2014年以来この内容を改めるよう交渉して来ましたが、ドコモは認めませんでした。そこで2019年11月総務大臣裁定を申請したものでした。

携帯キャリア3社の2020年3月期の業績は、総収入は約14兆円、営業利益約2.8兆円、営業利益率約19%となっており、通信という公益企業とは思えない利益状態です。これは偏に回線コストを高額に設定し、高い料金をユーザーに押し付けているからです。その高い回線コストでMVNOにも貸しているのです。これではMVNOの料金が下がる訳がありませんし、携帯キャリア3社はMVNOの契約が増加すれば自らの利益が増加することになります。携帯料金引き下げの肝は適正な回線使用料の設定にあるのは明白でした。

今回の総務大臣裁定が確定したことで、通話回線使用料も原価に適正利益を加えたものに変更されることとなります。その結果日本通信はデータ通信と通話を合わせた料金をこれまでから4割下げられると言っていますから、通話料金としては30秒10円程度になると考えられます。これが実現すれば楽天のMVO参入以上の料金引き下げインパクトがあると考えられます。楽天の場合、通信回線コストに適正利益を加えてこれを想定獲得会員数で割って月2,980円という料金(データ通信料金)を設定していると思われます。携帯3社の場合、設備の償却も進んでおり、この3分の2、2分の1の料金が適正料金となります。

高市総務大臣は2019年9月に2年ぶりに総務大臣に復帰しています。その前には2014年9月から2017年8月まで3年間総務大臣を務めており、総務省の業務と幹部を知り尽くしています。そんな高市総務大臣の復帰には2つの目的があると考えられます。1つは菅官房長官が4割値下げが可能と述べたにもかかわらず一向に下がらない携帯料金の値下げの実現です。もう一つは、昨年7月の参議院議員選挙でN国党が1議席獲得したことで顕在化したNHK受信料に対する国民の不満を解決することです。

高市総務大臣は先ずは携帯料金の値下げに1つの道筋を付けたと言えます。またNHK受信料問題については、今年の4月に総務省に有識者会議を設けて検討を開始しました。NHK受信料問題はどうなるか分かりませんが、少なくとも家計の負担が下がるような方向になるのは確実です。

このようにコロナ問題の対応で安倍内閣が国民の支持を失う中、高市総務大臣は着実に結果を出しています。BSの番組で高市総務大臣の通信政策に関する話を聞きましたが、頭もよく、難しい話も関西弁で軽妙に語っており、コミュニケーション力もあります。私は高市総務大臣が次の首相でも良いと考えます。少なくとも初の女性首相にするのなら高市総務大臣だと思います。