熊本空港に九州自然災害即応センターの設置を

7月4日の夜中から早朝の大雨で、熊本では球磨川沿線で洪水が発生し、たくさんの家屋が浸水し、土砂崩れが発生しました。その結果球磨村の特別養護老人ホームで14名の方が亡くなるなど21名の犠牲者が出ています。鉄骨造りの大規模な橋も流されていますから、球磨川に集まった水の威力の凄まじさが分かります。昨年8月には長崎・佐賀・福岡に跨る北部九州で集中豪雨に見舞われ、大きな被害が発生してしますし、2017年には福岡県および大分県北部で同じような被害が発生しています。このように九州では毎年どこかで集中豪雨が発生し、甚大な被害が生じています。それ以外にも台風は毎年どこかに上陸していますし、火山はどこかで鳴動しています。九州は自然災害の地雷原と言える状況です。

このような自然災害には各自治体が中心となって対応していますが、専門部署が無い所が大部分であり、職員が訓練されておらず、対応が遅れがちです。それでも被害に会った住民は、殆どの場合自治体の対応を責めたりしません。運が悪かったと自分を納得させています。そのため、同じことが毎年繰り返されることになります。

私は、九州7県は共同で自然災害に専門的に対処する部署(九州自然災害即応センター:Kyusyu Nature Disaster Cope Center=KNDCC)を設置するべきだと思います。例えば警察では、ハイジャックやテロに備えるため全国8本部にSAT(special Assault Team)という特殊な訓練を受けた部隊を配置しています。しかし、これらの部隊が出動したという報道は殆ど聞いたことがありません。出動する機会としては、KNDCCが圧倒的に多くなるはずです。大規模な自然災害があった場合、先ずKNDCCがヘリなどを飛ばし、現地を視察します。そして必要な救援策を見つけ、本部に報告します。本部は、本部の訓練を受けた部隊が出動するとともに、各自治体と対応策を協議し、連携して対応します。県境近くの場合、被害地が所属する県外から救助に入った方が良い場合もありますので、KNDCCには各県から連絡要員が派遣され、派遣元との連絡調整に当たります。KNDCCの使命は1人でも多くの人命を救うことです。

熊本では、2012年7月に阿蘇・熊本豪雨に会い、2016年には熊本地震にも会っており、九州で自然災害が最も多い地域と言えます。熊本は地理的に九州の中央にあり、幸い熊本地震の結果、災害に強い病院などの災害対応施設の建設も進んでいますので、KNDCCの本拠を置くのには適切と言えます。自然災害となるとヘリや飛行機を飛ばすことが多くなりますし、自然災害の影響を受けない場所にあることから、熊本空港内に本部を置くことが考えられます。そこに専用のヘリを持ち、いつでも飛ばせるようにしておき、救助物資の備蓄もしておきます。救助者も一部はここに運び、安全になったら被災地に帰します。これが大人数になることも考えられるので、市内の病院やホテルなどとの交通路は複数確保しておくことが必要になります。1つは道路を使ったバス・自動車での輸送であり、もう1つは鉄道を使った輸送が考えられます。そうなると現在考えられている熊本空港連絡鉄道が災害対策でも有用となります。熊本空港連絡鉄道はこういう方面でも国に支援をアピールすべきでしょう。

東京都では昨年小池知事が東京消防庁に自然災害に対する即応対処部隊を創設しました。東京は将来大規模な地震や水害が予想されており、これに対処する部隊と考えれます。財政が豊かな東京都だから単独で持てますが、九州のような財政力が弱い自治体が単独で持つのは負担が大き過ぎます。従って7県共同で設置するのが一番合理的と考えられます。実現に向けては、熊本県が先行実施し、他県を巻き込むことが考えられます。