ソフトバンク孫社長の次の野望は10兆円財団の創設!?
ソフトバンクグループ(SBG)の孫社長は、世界で一番有名な日本の経営者だと思われます。ヤフーの将来性に目を付け日本にライセンス導入し、日本一のポータルサイトを作り上げました。またアリババに目を付け、初回にパッと20億円の投資を行い、現在SBGが持つアリババ株式の時価雄額は約18兆円と言われています。それに加え携帯会社ボーダフォンを約1兆7,500億円で買収し、今では年間5,000億円以上のキャッシュを生み出す会社に育てました。また約320億ドルで英国のアームを、216億ドルで米国のスプリントを買収するなど巨額の買収を行っています。このうち不振だったスプリントは同業のT-モバイルと合併させ、投資額は回収し、更に1兆円以上の含み益を持っていますから投資としては成功と言えます。これだけ華々しい買収を行った日本の経営者はいませんし、世界でも珍しいと思います。
しかし最近は10兆円のビジョン・ファンドで巨額の損失(2020年3月期で約1.9兆円)を出し、これまでの投資の神様のイメージが壊れて来ています。これはファンド資金を10兆円としたことからの当然の帰結でした。これだけの資金を消化するとなると、1社当たりの投資金額を大きくするしかなく、そのため高株価で投資することになります。その結果、投資時で含み損になっていたと考えられます。それが現在顕在化しているのです。だから孫社長は、ベンチャー投資家としては酷いレベルと言えます。SBGの取締役には世界的に著名な経営者を集めていますが、みんな高給(10億円、20億円)を貰えることから孫社長に何も言えなかったものと思われます。
その結果現在孫社長の仕事の中心は、SBGの資産売却によりビジョン・ファンドの損失を処理することになっています。今期中に4兆5,000億円の資産を売却するという計画を発表し、既にソフトバンク株を約3,000億円、アリババ株を1兆2,000億円、T-モバイル株を約2兆2,000億円の合計3兆7,000億円売却しています。これと同時に2兆5,000億円の自社株買いを行っています。その結果一時2,600円近辺まで下げたSBGの株価は6,500円近辺まで上昇し、孫社長の持ち株(2000年3月末21.25%)の時価評価額は約2兆6,000億円となっています。
最近アームを再上場するという報道がなされていますが、これはアームの株式が低株価でビジョン・ファンドに組み込まれているため、株式公開して売却し、ビジョン・ファンドの損失を処理する狙いがあると考えられます。SBGが持っていたアーム株をビジョン・ファンドに組み込む際、SBGは約1兆円の損失を計上している(2018年国税が調査に入った)ため、ビジョン・ファンドが持つアーム株は、組み込み時点で約1兆円の含み益を持っていることになります。アームが再上場すればこの含み益を実現できます。その結果、WeWorkで出した損失をカバーすることができます。しかし高い株価で投資しているため、その他の投資先の多くがIPOしたとしても、ビジョン・ファンドが利益を出すことは難しいと思われます。そのため、今後SBGで他の出資者の持ち分を買い取り、ビジョン・ファンドをSBGの単独出資ファンドとし、その後SBGから分離(売却)することが考えられます。そうすれば、SBGに残るのはアリババ株、ソフトバンク株、Tモバイル株という上場株のみとなります。こうなると単なる持ち株会社であり、投資先としての魅力は低下し、このまま上場を続ける意味も無くなると考えられます。従ってSBGは、今後とも自社株買いを続け、孫社長の持ち分割合を高めた上で非公開会社化すると予想されます。
そして孫社長の最後の仕事は、孫社長が持つSBG株またはSBGが持つソフトバンク、アリババ、T-モバイル株を基金に組み入れた孫財団を創設することだと思われます。その場合基本財産が現在世界最大とされるビル・ゲイツ財団の360憶ドルを上回る1,000憶ドル(約10兆円)の巨大財団(MASAYOSHI.SUN MEMORIAL FOUNDATION)が誕生することになります。