地方公務員の給与は県民所得に連動させるべき
国家公務員と横並びで決まる地方公務員の給与制度はおかしいと思います。国家公務員と地方公務員の給与の関係を示したものにラスパイレス指数がありますが、地方公務員の給与は都道府県の1人当たり所得に関係なく、国家公務員の95~105%となっています。2019年度の都道府県公務員の給与を見ると、高い順に静岡県102.3、神奈川県101.7、三重県101.6、東京都101.0となります。低い順に見ると、鳥取県95.3、鹿児島県96.2、青森県97.4、宮崎県97.5となります。
一方都道府県民1人当たりの所得を見ると、2017年度のデータですが、多い順では東京都450万円、愛知県357万円、静岡県332万円、滋賀県327万円となります。少ない順では沖縄県210万円、鳥取県233万円、鹿児島県239万円、宮崎県240万円となります(千円以下切り捨て)。
このデータから見ると、県民1人当たりの所得に関係なく、県職員の給与が決められていることが分かります。東京都と宮崎県との1人当たり所得の差は210万円で、宮崎県は東京都の約半分ですが、公務員の給与差は僅か2.5しかありません。これを民間企業において言うならば、利益が少ない企業の社員が利益が多い企業の社員とほぼ同じ給与を得ている状況です。即ち、中小企業の社員と大企業の社員の給与がほぼ同じということです。これは社会的には理想的ですが、現実には起こりえません。
また東京と地方県を比べた場合、住宅を建てるコストが段違い(地方は東京都の半分)ですし、その他の物価も相当安くなっています。地方の人生トータルの生活コストは、東京のそれのせいぜい70~80%程度と考えられます。
これらのことを考えると、地方公務員の給与はもっと都道府県県民所得に連動した給与体系するべきだと思います。今の給与体系では、物価の安い地方の公務員が物価の高い都市の公務員より圧倒的に良い生活ができることになります。各都道府県民が収めた税金で各県の公務員の給与が払われていれば、こんなおかしい給与体系にはならないと思われます。
やはり地方公務員の給与体系は、各地方団体の1人当たり所得および各地方団体の税収に基づいた体系にする必要あると思います。そうでなければ各地方の公務員が県民の所得を上げよう、県民の生活水準をあげようというインセンティブになりません。これは今後必要となる公務員の生産性向上(倍増)にもつながる問題です。
(2019年度の最低賃金を見ると1位の東京都の1,013円に比べ、最下位の県は790円と約22%の開きがあります。なのに公務員の給与は2.5%程度の開きしかなく、ほぼ全国一律の賃金となっています。最低賃金のバラツキを認めるのなら、公務員給与も最低賃金に連動させるのが合理的です。)