PCR検査、こうすれば増やせる

コロナ感染拡大が止まりません。東京都で見ると7月の感染者数は6,466人で、4月の3,748人の1.7倍になっています。7月31日は463人となり、月間15,000人のペースです。東京都の増加に伴い、地方でも増加しています。7月31日の感染者数は、大阪府が216人、愛知県が193人、福岡県が170人となっており、地方の中核県で増加していることが分かります。これは、6月19日に都道府県を跨ぐ人の移動制限が解除され、それに伴い人の移動が増加したことが原因と考えられます。約2カ月近く家族や知人などに会えなかった人たちがドッと会いに出かけました。それは圧倒的に大都市から地方への移動が大きな流れでした。また仕事で地方への出張を取りやめていた人たちの活動も復活しました。これも大都市の企業から地方都市の支店や取引先への移動が中心となります。これらが地方での感染者拡大に繋がったと思われます。また遠方のリゾート地に出かけ、感染拡大に繋がったと思われる事例もあります。沖縄県での感染者の増加(7月31日72人)や与論島での30人を超えるクラスターの発生がこの例です。

従って、感染者の地方への拡大を止めるためには、移動制限を復活すればよいことになります。仕事の場合、出張は必須とは言えず、オンラインでの打ち合わせで代用できることも多いと思われます。家族や親戚、知人に会うのは我慢します。こうすれば、感染の地方への拡大は止まるはずです。その分経済活動は不活発になりますが、地域内では機能します。

しかし、感染者数の拡大を止める最大の方法は、市中の感染者を見つけ出し、マーキングし、入院や隔離することです。隔離はホテルなどや自宅が考えられます。少なくともマーキングすれば本人が自覚しますから、人と接触し、感染者を増やすことはなくなります。

そのためには、PCR検査を増やす必要があります。日本では現在35,000件の検査が可能と言われていますが、最低でも1日10万件に増やす必要があります。これだと月300万人、年間では3,600万人の検査ができます。ほぼ大都市の居住者は1年以内に検査できることになります。そのためには3つのことを行う必要があります。

1つは、医師の判断がなくともPCR検査を受けられるようにすることです。PCR検査は危険でもなんでもなく、医師の判断を条件とする必要は全くありません。むしろPCR検査を受けて感染が確認されたら医師の診察を受けるという順番です。現在医師の判断を必要としているのは、医師の利権確保の面が強いと思われます。検査業務に関わる利益を失いたくない医師のエゴの表れです。医師の判断が必要と言う条件が取り除かれれば、検査が受けやすくなり、検査業者が独自で検査センターを開設できるようになります。そこで唾液を採取し、検査します。これで検査数は圧倒的に増えます。東京都医師会の尾崎会長は、臨時国会を開催し特措法を改正し、休業補償とセットなった休業命令制度の創設や地域を限定した一斉PCR検査の必要性を主張しています。これまで医師会長と言えば、医師の利権の主張ばかりと言う印象でしたが、尾崎会長は国民の生命・健康を守ると言う立場で主張しているように思われます。コロナが収束するまで厚生労働大臣をお願いしたいところです。こんな尾崎会長には、先ずPCR検査増大の妨げとなっている医師の判断が必要という条件を取り除くことに同意して頂きたいと思います。

次に検査機関のPCR検査機器の購入や施設にかかる費用を100%国が補助することです。PCR検査体制が拡充しないのは、保健所や病院、検査センターなどの検査機関がPCR検査機器を購入する資金や施設を作る資金がないからです。またコロナが1,2年で収束した後のことを考えたら多額の投資に踏み切れないのです。これが100%国の資金で賄えるとなると動き出します。投資したけれど回収できないことは無いのだから、どしどし購入します。全自動検査機器の導入を推奨し、熟練要員でなくとも検査できるようにすることも必要となります。この予算としては約2,000億円を手当します。

それに加えて、1、2年の間に行う検査数を国が確約することも必要となります。国や都道府県が地域や業種を指定して行うPCR検査は無料とし、当初の1年間は1日10万人を目標に実施することとします。その結果、検査需要としては年間3,600万件となります。その費用を1件2万円とすると年間7,200億円の検査需要が生じることとなります。また2年目もこの半分くらい約束します。これなら検査機関には魅力的な事業となります。

これらの措置による国に必要となる予算は約2兆円と考えられますが、経済活動を取り戻すことを考えれば決して高くありません。