NHKはコロナ禍に苦しむ視聴者に受信料の減免措置をとるべき
8月7日の日経電子版の報道によると、金融庁と全国銀行協会は、コロナにより失業したり収入が激減して住宅ローンを返済できなくなった人に対して、返済を減免する特例措置を作るとのことです。住宅ローンは純粋に民間取引であり、私法原則が適用される中で、民間である銀行がこのような福祉的措置をすることは、企業が社会的存在であることを考えてのことと思われます。
それに対してNHKはどうでしょうか?見もしないNHKの放送に対して、無理やり受信契約を結ばせ、結んだら生活状況に関わらず集金人を差し向け、無理やり徴収しています。これはコロナにより失業したり収入が激減した人たちに対しても変わりません。民間企業である銀行が返済の減免を検討している中で、この態度は不条理です。
NHKは8月4日、今後3年間に500億円の支出を削減し6,000億円代とするという3カ年計画を発表しました。しかし、コロナ禍で苦しむ視聴者に対して受信料を減免するという配慮は全く見せませんでしたし、この3カ年計画でも受信料値下げは全く計画されていません。受信料はNHKの権利であり、国民の義務だという意識を貫徹しています。今期はコロナ禍で所得税が課税されない人が増えると思いますが、そういう人からも受信料を取り立てるのですから、NHKは国家より上の存在のようです。
現在受信料支払い者には失業したり、収入が激減し、福祉貸付金などで生活している人が増えています。NHKはこの人たちから今でもNHK受信料を取り立てています。この人たちにとって、月2,230円(1例)の受信料は、1人1週間分の食費に相当するはずです。これが分かれば、この人たちから受信料を取り立てることなどできないはずです。従って、福祉貸付金の貸し付けを受けている世帯は受信料免除とするということが自然に出てこないとおかしいのです。民間企業ではなく、公共放送ですよ。NHKは公共放送という言葉を受信料取り立ての名分として使っているだけです。そもそもNHKの放送のうち公共放送と言える内容は10%もありません。後は民間放送と変わらない内容です。それをNHKは残り90%を占める民間放送類似の放送にかかる費用を徴収するため、公共放送という名分にしがみついているのです。そしてこの名分を根拠として、生活保護世帯以下の収入の受信世帯からも受信料を徴収し、このコロナ禍でも続けています。
2019年度のNHKの決算を見ると当初30億円の赤字としていた収支差は223億円の黒字となっています。これは国会に赤字予算を提出し、受信料値下げ額を低く抑え、承認をとったことを意味します。NHKのような収支の変動が少ない団体で、こんなに収支が狂うはずがありません。これは計画的予算操作と言えます。収支差223億円は本来受信料値下げに回すべきなのですが、NHKはこれを財政安定の資金として翌期に繰り越すと説明しています。NHKは本体で2019年度末(2020年3月末)、2,907億円の繰越剰余金を持ち、7,890億円の自己資本を持っていますから、財政は十分安定しています。これを連結決算で見ると繰越剰余金は3,777億円となり、自己資本は8,842億円となります。これは子会社に870億円の利益を蓄えているからです。使途がうるさいNHK本体の資金を子会社に振り替える一種のマネーロンダリングです。こうしてNHKは視聴者や日本が破綻してもやっていける体制を築き上げています。
NHKは今後3年間に500億円の支出を削減すると言っていますが、これは簡単なことです。NHKの2019年度の収支差は223億円ですが、営業の現金収支で見れば1,126億円の黒字です。即ち、放送事業では1,126億円お金が余っているということです。これだけ余らせると受信料を下げろと言われるので、これで固定資産や有価証券を購入しています。固定資産は放送機器が多いですが、ほとんど使わない最新の機器を揃えていると思われます。また札幌や奈良、大津の放送会館を新設しているのも有り余る資金を減らす対策だと思われます。従って、今後3年間に約500億円削減することは難なくできます。NHKは本当に余裕綽々の経営内容であり、コロナ禍にある視聴者と対照的です。
そしてNHK経営委員会と総務省、国会議員がこれを守護しているのです。明日の生活もままならない視聴者が増加している中で、NHKが受信料を減免しないという態度をとることは許されないと思います。NHKはこういう視聴者に速やかに減免措置を採るべきです。