消費税減税より携帯料金4割値下げでしょ!

最近新聞紙上でこの秋安倍首相が消費税引下げを決断して総選挙に打って出るのでは、との推測記事が見られます。8月7日の新聞記事では自民党の岸田政調会長が消費税の引下げには反対と述べており、この推測の信憑性を強めます。消費税引上げ前安倍首相は、リーマンショックのような経済状況にならない限り、消費税を2%引上げると言っていました。消費税引上げ前にはこの状況にならなかったけれど、引上げ後にこの状況になったのだから、再度引上げ前の状態に戻すため、消費税2%引き下げてもおかしくありません。それにより消費は僅かながら改善すると思われます。

しかしそうなると、引上げられた消費税が財源となっている政策も元に戻す必要があります。消費税2%増税分約5.6兆円は、赤字国債を削減するために約2.8兆円、幼児や高等教育の費用負担軽減のために約1.7兆円、高齢の低所得者の負担軽減のために約1.1兆円当てる計画ですので、もし2%消費税を引き下げたら、これらを撤回しないといけなくなります。撤回すれば、赤字国債削減のための約2.8兆円を除く約2.8兆円については、この分の負担が恩恵を受けていた家計にそのまま振り替えられます。恩恵を受けていた多くの家計は、すでにこの分の支出を他に振り向けており、死活問題となります。なので、消費税2%を引下げる場合でも、これらの措置はそのままにし、財源はその他の増税で確保することになると思われます。

実は消費税2%引下げなくても、同じ効果を出せる方法があるのです。それは、菅官房長官が2年前に言い出した携帯料金の4割引下げです。当時携帯電話4社の売上高は約13兆円、営業利益は約3兆円、営業利益率は約20%でした。4割引下げというと営業利益約3兆円の4割、1.2兆円家計の支払額が減少すると考えるでしょうが、そうではありません。売上高約13兆円の4割、5.2兆円の支払額が減少するのです。即ち、消費税2%引上げにより増加した家計の支出をほぼ埋めることが出来るのです。2020年3月期で言えば、携帯電話4社の売上高は約14兆円ですから、この4割は5.6兆円で消費税2%の税額と同じとなります。これが菅官房長官が4割の値下げに言及した理由です。これだけ下げれば携帯電話4社がやって行けないと思うでしょうが、そんなことはありません。売上高8~9兆円、営業利益約5,000億円、営業利益率約5%程度の決算はできます。電力9社の直近の決算が売上高約19兆円、営業利益約1兆円、営業利益率約5%ですから、4割値下げして電力会社並みの営業利益になります。要するに、携帯電話4社は結託して寡占状態を作り上げ家計から収奪の限りを尽くしているということです。ソフトバンクグループの米国スプリントや英国アームの数兆円規模の買収や10兆円のビジョンファンドは携帯電話事業から流れ込む資金が原資です。即ち、家計の資金がソフトバンクグループから海外に流出していることになります。こんな状態を放置する方がおかしいのです。

この菅官房長官の発言は良かったのですが、携帯料金は一向に下がっていません。携帯電話4社の売上高は下がるどころか2020年3月期には14兆円にまで増加しました。即ち、携帯電話による家計収奪は弱まるどころか逆に強まっていることになります。

それは、総務省の携帯電波行政担当者が、携帯電話4社を守るため、値下げに繋がるような対策を出さないからです。そしてそれを可能とする組織が携帯料金値下げを検討するためと称して設置された総務省の有識者会議です。有識者と言えば携帯4社に密接な関係がある人たちであり、今の携帯電話4社の高収益構造を一緒になって作り上げた人たちです。この人たちが電話4社に不利益になるような値下げ案を出すわけがありません。即ち、現在の総務省の担当者と彼らが組織した有識者会議で値下げ案を検討している限り、携帯料金が4割下がることは決してありません。4割下げることは簡単で、コンサル会社に値下げ対策を検討させればよいのです。ほどなく4割下がる案を出して来ます。それを忠実に実行すればよいのです。これが出来ないのは、安倍政権に本気で下げる覚悟がないからです。安倍政権と多くの改革を成し遂げた小泉政権の差は覚悟の有無です。

いずれにしても、消費税2%の引下げは社会的混乱をもたらすので、代わりに菅官房長官が言い出し、国民が切望している携帯料金4割の値下げを実現すべきです。