大学の成績は学生の能力を的確に示す

大学の文系学部に進学したら高校と違い授業に出る・出ないも自由で、しっかり目標を持っていないと何もしないまま4年間が過ぎてしまいます。年間2回の試験も、良く言われることですが採点が甘く、大体単位は採れます。しかし、A(その上にSがあるとも聞くが見たことがない)を採るのはなかなか難しいと思います。私は、Aは数個で殆どがBでした。殆ど授業にでず、試験前に教科書を読んだだけで試験を受けていたので、妥当な評価だったと思います。私のクラスで将来大学の研究者になる目標を持って、授業は毎回教室の一番前の席で聞き、授業が終わったらよく教授に質問に行く学生がいました。彼は単位は殆どAで揃えたようです。そして法学部の大学院に行くため面接を受けたところ、質疑応答が終わって面接官から言われた言葉は、「君は良く勉強しているけれどリーガルマインドがないね」だったという話です。これは法学の研究者を目指す学生にとっては、致命的欠陥を意味します。彼は結局政府系金融機関に入り、今は関西の有名私立大学の教授(法学部ではない)をしているようです。

このように大学の成績がいいからと言いて、研究者に向いているとは言えないようですが、仕事をこなす能力の判定には有効だと思います。特に会社での採用の場合、会社は学生は勉強しないものと考え、大学の成績はあまり重視しないようですが、これは間違いだと思います。と言うのは、大学を卒業するためには所定の単位は興味がなくても取る必要があり、学生と殆ど面識がない教授や助教授が数百人の学生の答案を読んで客観的に評価しています。その中で多くのA評価を得ているということは、興味ないことに対しても真摯に取り組み、優秀な結果を出せるということです。人は自分が考えた以上の結果は出せません。会社に入ると、自分が希望しない仕事を割り振られることが少なくなく、その際にモチベーションを失くし、投げやりな仕事をして評価を落とす人が出てきます。大学の成績がよい学生は、このような面白くない仕事でも優秀な結果を出せる可能性が高いのです。仕事では、本人がやりたかった仕事と本人の適性が一致すれば良い結果を出せますが、そういう組み合わせになることは多くありません。会社で成功する人は、自分が興味のない仕事でもしっかり取組み、良い結果を出せる人です。これは大学の成績が良かった人と重なります。従って、会社が学生を採用する場合、最も当てになるのは大学の成績だと思います。また学生も大学の成績は自分の能力を的確に示すものと考えた方が良いと思います。