森下NHK経営委員長は他の委員の多数決で解任すべき

かんぽ生命保険の不正販売を報じたNHKの番組に対して日本郵政の副社長から抗議があったことから、NHK経営委員会が2018年に当時の上田NHK会長を経営委員会に呼び、放送内容を批判し厳重注意にした問題で、今年6・7月にNHK情報公開・個人情報保護審議委員会から全面開示を答申された議事録の扱いを議論した際、森下俊三NHK経営委員会委員長(以下森下委員長)が強く全面開示に反対したことが判明したという報道です。

この問題については、これまでの報道でも上田会長を呼んだ委員会の席上で当時の森下副委員長が中心となって番組の作り方を厳しく批判したと言われています。その結果NHKの上田会長は「これは番組への介入である。」として激しく反発したと言われています。森下委員長は、上田会長を呼び議論したのは事実と認めていますが、番組介入の意図は否定しています。意図はなかったとしても、結果的に番組作りに影響を当たる行為であれば、番組への介入となります。

森下委員長は、関西テレビ放送番組審議委員にも就任しているようであり、こちらの委員の感覚でNHKの番組内容の批判を展開したと思われます。森下委員長は、関西経済界の重鎮(元関西経済同友会代表幹事、元関西経済連合会副会長)であり要職をいくつも兼任し、テレビ番組を見る機会は少ないと思われ、なぜ関西テレビ放送番組審議員を務めているのか不思議です。森下委員長が今回のかんぽ生命保険の不正販売報道を問題視したのは、自らその放送を見たのが動機ではなく、日本郵政の副社長から抗議がったことが動機となっており、経済界の重鎮としての立場から出た行動のように思えます。

NHK情報公開・個人情報保護審議委員会から全面開示を答申されたにもかかわらずこれを拒否し、全面開示に応じない姿勢を続けている理由として森下委員長は、そもそもこの会議は非公開の前提で開催したものであり、これに応じたら今後非公開の議論はできなくなると述べているようです。しかしこれは通りません。それはこの会議の内容が経営委員会に禁止されているNHKの放送内容に対する介入の疑いを持たれているからです。そうでなければ非公開で構わないのです。これほどまでして公開したくないということは、余程激しい番組批判を展開し、公開したら委員長辞任に繋がる発言をしているためとも考えられます。

このように森下委員長の主張は通らないにもかかわらず、NHK経営委員会が何らのアクションを採らないのが不思議です。会社の場合、社長の言うことに従わなければ居場所がなくなりますから、黙って従う人が多いのは理解できます。しかしNHK経営委員会は社会的地位のある人たちが国会の同意に基づいて選ばれており、経済的にも制度的にも委員長に従属していません。従って、おかしいことはおかしいと敢然と主張できる状況にあります。しかし、報道によると1名の女性委員が委員長の主張に反対しているだけのようです。あともう1名の女性委員も異論を述べたとあります。一方企業出身の4人の男性委員は全く音なしのようです。会社での習性が染みついているためでしょうか。

森下委員長は自分が中心になって行った横暴を隠蔽するために議事録の全面公開に反対していることは明白であり、心ある委員が力を合わせて委員長を解任すべきだと思います。特に7名の女性委員に期待したいと思います。もしこれができないから、現在のNHK経営委員会制度は、委員長の専横で運営できるようになっており、全面見直しが必要です。