ITはIppanToolになった

ITとはInformationTechnologyの略で、一般的にはインターネットの利用技術と言って良いと思います。ITという言葉が使われ始めた頃は、また言葉遊びの実体のないものに終わるだろうと思っていたところ、インターネットという形で生活や仕事のやり方を変えてしまいました。私が知る限り、情報分野の簡略英字で最も具体化したものだと思います。

その結果、ヤフーで当てた孫社長が日本一の投資家になりましたし、楽天を創業した三木谷社長は一大ネット経済圏を作り上げました。コンサル上りは成功しないと思われたDeNAの南場会長はプロ野球球団を持つ企業を作り上げました。またZOZOの前沢前社長は株長者となり、インターネットの資産形成面での威力を見せつけています。その他メルカリやLINE、GMOなどインターネットは新しい企業を輩出しました。

それでも世界的に見ればGAFA(Google,Amazon,Facebook,Apple)が世界のインターネット事業の勝者と言われ、情報と富を寡占していると言われます。この4社には世界の人たちの多くの情報が蓄積され、それぞれ情報帝国のような様相です。これは実は深刻な状況で、個人情報の多くが4社に握られているということを意味します。国の戸籍情報などを上回る情報と言えます。こうなると集まった情報に基づき、個人の次の意志決定も推測できるようになり、将来の姿も描き出されるかも知れません。こういう領域がAIと言われる分野だと思われます。AIはITの特定分野における深化(進化)した姿と言えるのではないでしょうか。それが正しいならば、AIは専門職のようなものであり、使える分野が限定されることになります。その結果、個々のAIの市場規模は小さいことになります。

AIが使われるような時代になったということは、ITがプラットホーム化したと言うことであり、IT企業と言うだけでは高い利益を得られなくなったということだと思います。インターネットはIT企業の独占物ではなくなって、一般企業でも業務の一部となっています。ということはIT=IppanToolと置き換えても良くなっている状態だと思います。これから分かることは、現在の株式市場におけるIT企業の評価額は高過ぎであり、今後低下して行くということです。そしてITの上でAIが使われるようになるのですが、AIは小さな分野で使われる技術であり、総体では別としても、個別のAI分野は個別のIT分野のような大きな市場にはならないと考えられます。ITは終わったとは言いませんが、これまでのようなお金を生む技術ではなくなったと思われます。