「まさか」の菅首相と「またか」の枝野代表・小沢コンビ

安倍首相辞任後の首相は菅官房長官で決まりのようです。一方野党では立憲民主党と国民民主党が元鞘に収まり、新しい立憲民主党に一本化されました。そして代表には枝野幸男衆議院議員が就任しました。両党の元鞘化に当たっては小沢一郎衆議院議員が活躍したようです。新聞紙上でもその発言が頻繁に取り上げられていました。従って新しい立憲民主党は枝野代表と小沢議員の2名が中心となって運営されると思われます。

この2人の名前を聞き、顔を見ると8年以上前の民主党政権を見ているような気分になります。小沢議員は民主党の幹事長として首相を凌ぐ権力を握っていましたし、枝野代表は菅首相の下で官房長官として活躍していました。しかし民主党政権は国民の期待の下に誕生したにも関わらず、選挙前には消費税は引上げないと公約に掲げていたにもかかわらず、政権誕生後には引上げに転じ、国民の不信を買ってしまいました。あれで政権は死に体となったと言っていいと思います。それでも衆議院の任期が4年あるため居座られ、国民は失望の日々を送りました。そして突然巡ってきた解散総選挙で、安倍自民党総裁はこの国民の気持ちを良くつかみ「悪魔の民主党政権で良いのか」と訴え、政権を奪取しました。問題の多い第二次安倍政権が7年8カ月も持ったのは、偏に「悪魔の民主党政権」よりはましという国民の判断があったからです。

新しい立憲民主党は、この「悪魔の民主党政権」のレッテルをはぎ取ることができないと、次の総選挙での勝利はあり得ません。しかし、自民党がお坊ちゃまの安倍首相から苦労人の菅首相に引き継がれ、変化が期待できる配役を用意したのに対して、立憲民主党の枝野代表と小沢議員のコンビには8年前の民主党政権の配役のままです。すでにここで総選挙の結果は見えていると思われます。

法曹界出身の枝野代表がなずけ親である立憲民主党という党名からして、抽象的な存在である憲法を中心としており、法理の囚人である法曹人の特徴がよく表れています。議員としての思考が国民の現実の生活に立脚していないのです。立憲民主党の活動は、国民の生活改善に結びつかない抽象論の議論に終始しており、多くの生活者から違和感を持たれています。それでも次の総選挙では、自民党政権下ではどうしようもない環境に置かれている有権者の投票を得て、今以上の議席を確保できると考えられます。しかし、政権を取ることはないし、取ってもまた「悪魔の民主党政権」の再現となると思われます。