首相になるには有名中高一貫校への進学はマイナス?

今回菅首相が誕生しました。菅首相は、その経歴で国民の期待を集めています。確かに秋田の農家の出身で、苦学して法政大学を卒業し、国会議員秘書、横浜市議会議員を経て国会議員となり、当選8回で首相まで上り詰めたという経歴は、首相の経歴としては異質です。政権の方針も安倍前首相は「憲法改正」や「アベノミクス」など抽象的なものが多かったのに対し、「行政のデジタル化の推進」や「携帯料金の4割値下げ」など極めて具体的なものとなっています。菅首相は安倍政権の方針を踏襲すると言っていますが、実際は安倍政権を反面教師にしていると言えます。

安倍首相は具体化する能力が不足していると感じましたが、菅首相は、身の回りの具体的な問題を把握する能力に優れ、その分国の基本政策に昇華する能力は不足しているかも知れません。しかし家計にとっては、困っていることを具体的に解決してくれる良い首相になる可能性が高いと思われます。

法政大学と言えば難関大学ではなく学力は総じて高い方ではありませんが、首相をやるに当たって支障はないと思われます。安倍首相で成蹊大学卒では首相は無理だと思いましたが、あれは安倍首相の個人の資質だったようです。

今回の菅首相の誕生で、有名私立中高一貫校に行っても首相にはなれない傾向がはっきりしたように思われます。例えば灘中高や開成中高を出て東大卒の人が秀才であることは間違いありませんが、このような有名私立中高一貫校は、首相になるには適切な進路ではないことになります。それは、進学は個人作業であり、仲間づくりとは反対にある作業だからではないでしょうか。有名私立中高一貫校に入学するためには、小学校低学年から塾に行き、中学受験模試を受け、他人を蹴落して上位に行くことに注力する必要があります。その結果、仲間と助け合うこと、仲間を作ることが思考から欠落し、仲間作りが出来なくなると思われます。有名中高一貫校の出身者は、社会人になっても中高時代の同級生との付き合いが深い人が多いように思われます。そして仲間になれる人の範囲が中高時代の同級生のレベルに近い人に限定されている感じがします。その結果、新しい仲間が極端に少なくなっていると感じらます。

国会議員には官僚からなる人が多いので、有名中高一貫校出身者が多数います。しかし首相候補となると少なくなります。今回の自民党総裁選で言えば、岸田元政調会長が開成中高、石破元幹事長が慶応高大出身でしたが、菅首相と比べて仲間作りが圧倒的に劣っていました。一方菅首相は仲間作りに長けていたと思われます。困っている人がいたら助けてあげて仲間を増やして来ています。その結果、危ない仲間も多く、河井克行議員や案里議員、菅原一秀議員のような大臣辞職に至るような人も出てきます。しかし、首相になるには国会議員の多数の支持が必要であり、仲間の襟好みはできません。

この点で、有名中高一貫校卒業の国会議員は、中高時代の仲間と著しく違う国会議員を生理的に受け入れられず、仲間が少なくなっていると思われます。

将来首相を目指すなら、有名私立中高一貫校への進学はマイナスかも知れません。