公務員の給与・賞与は税収と連動させるべき
10月7日人事院が公務員の年間賞与を昨年比0.05カ月減らして4.45カ月にするよう政府と国会に出した勧告は、勘違いの勧告で、政府がそのまま実施することはないと思われますが、ではなぜ人事院はこのようなとんでもない勧告が出せるのでしょうか?
それは、公務員の給与や賞与の原資が明確でないからです。そんなことはない、原資は税金で明確だ、という反論が出そうですが、それなら0.05カ月の引き下げというような現実離れした勧告は出せません。なぜなら、今年の税収は昨年の約62兆円を大幅に下回り、50兆円程度となることが予想され、賞与の原資が大幅に減少するからです。20%近い減少です。これは民間企業で言えば20%の減益決算であり、賞与は確実に20%減らされます。なぜなら賞与の原資がそれだけ減るからです。国も同じで20%税収が減れば、公務員の賞与の原資も20%減少するはずですから、賞与も20%減らさなければならないはずです。なぜかこれをやっていません。では税収が減った分の賞与の原資はどこから出ているのでしょうか?それは赤字国債から出ていることになります。従って今年公務員賞与が年間4.45カ月分だとすれば、その20%部分は赤字国債が原資です。これは国債の使途としておかしいのは明白です。従って、公務員の賞与ばかりでなく給与も税収により増減させる必要があります。税収は民間企業の業績により変動しますので、公務員の収入も民間と同じように変動することになり、民間と公務員の経済状況が一体化します。これにより、公務員は民間が良くなるように働くようになります。逆にこれをしない限り公務員が民間のことを考えて働くことはないと思われます。
税収と給与や賞与の連動は公務員ばかりでなく国会議員や地方議員にも当てはまります。最近埼玉県で知事が民間と痛みを共有するため知事や県議会議員の報酬引き下げ案を議会に上程したところ否決されたとの報道がありました。否決の理由として議会側は、議員は議員としての働きを通して貢献すべきだから、と述べていましたが、本音は、報酬削減は嫌だからです。議員報酬も税収に連動することにすれば、こういう場合当然のこととして削減されます。
これからは人口減少による税収の減少が考えられますので、公務員の給与や賞与、議員報酬を税収と連動させる仕組みの導入は避けられないと考えられます。