「福島にデジタル庁を」などあり得ない
公明党の山口代表が「福島にデジタル庁を置くよう菅首相に提案した」と述べたと言う報道です。これは福島での公明党大会で述べたということですので、党員へのアピールと思われますが、デジタル庁という今後日本の将来を左右するかもしれない組織を党利党略に使ってほしくないものです。
そもそも行政のデジタル化の業務は、ITでも最も高度な技術を要する分野の1つです。従ってこれを担える人材は限られています。そのため人材は民間企業との取り合いになりますし、現実には民間企業の協力の下に進めることになります。そのためには職場はITのメッカである東京しかあり得ません。ITの技術変化は激しく、東京でアンテナを張っていないとトップクラスの技術を維持できないのです。もし福島勤務となったら、こういう人は採れなくなります。また福島勤務だと妻帯者は子供の教育もあり単身赴任が多くなり、これも採用に影を落とします。ようするに福島にデジタル庁を置くということは、必要な人材が確保できなるということであり、デジタル庁を設置する目的を達成できなくなるということです。山口代表はデジタル庁の仕事をテレワークのように考えておられるのではないでしょうか。パソコンがあればどんな地方でもできるとお考えのような気がします。そうではなくデジタル庁の核心は、高度なIT人材の集結です。これが福島では不可能ということです。それは福島だからというわけではなく、東京以外の全部の都市で不可能です。山口代表の頭の中には文化庁が京都に移転した例や消費者庁が徳島にオフィスを置いた例があるのではないかと思いますが、文化庁の場合、文化財の大部分が京都にあることから、もともと東京よりも京都の方がふさわしかったと言えます。消費者庁の徳島オフィスについては、政策研究に限定し、それも一旦移転すると言った以上何らかの形を作らざるを得なくなったためです。デジタル庁の福島設置は財務省や経済産業省を福島に移転するのと同じレベルの話です。従ってこの話はあり得ないと思います。
この山口代表の話を聞いて、アベノマスクの受託企業の中に福島の公明党支持者の会社があったことを思い出しました。当初受注した企業名が隠された会社です。その後この会社は、マスク製造経験がなく、経営者には脱税の過去があることが明らかになりました。これだけ揃えば通常官庁の仕事は受注できません。それを受注できたのは、この企業の経営者が公明党支持者であり、公明党関係者から働きかけがあったためではないかと言われました。
そしてまた福島の登場です。福島は関東の商業主義と東北の農本主義がぶつかる地域で、大きなお金が動きます。多数の原発も大きなお金が動いたか結果と考えられます。そして天変地異とは言え、痛ましい原発事故が起きています。福島の復興は、この文化の見直しも含まれており、今回政治絡みで福島の名前が登場したことは残念でなりません。