セレブ携帯とエコノミー携帯

菅首相の執念が伝わり携帯キャリア3社が値下げに動きそうです。大容量プランの料金を5,000円以下に下げると言っていますが、これまでの経緯から考えるとまた家族で契約した場合に限るとか、長期契約の場合に限るとか、いろいろ抜け道を作り、結局キャリア3社の収入は減らない、即ち家計支出は減らないという結果になることが危惧されます。菅首相の携帯料金値下げ要請の主旨は、家計支出を減らすことであり、これが実現しない値下げは意味がありません。携帯3社は既に長い間営業利益率20%という高い利益率を続けており、十分社内にため込んでいます。もう他の公益企業並みに営業利益率5%の水準まで一気に値下げする時期です。これが実現しない場合、政府は営業利益率5%を超える部分は電波使用料として徴収する法案を準備する必要があります。

携帯電話事業は設備投資事業であり、携帯料金は容量無制限で1台当たり(設備投資額+利益5%)の料金水準が妥当です。光回線の料金がそうなっているはずです。このため楽天は容量2,980円と言う一本の料金になっています。楽天が2,980円ということは既に設備の償却が進んでいるキャリア3社はもっと安い料金設定ができるはずです。損益分岐点は2,000円以下と考えられますので、ユーザーは5,000円を切るという料金設定に騙されないようにする必要があります。

さて、キャリア3社の値下げと共に必要なのがMVNO(格安携帯)の値下げです。MVNOの料金がこのままではキャリア3社が魅力的になるだけであり、ユーザーの移動はありません。年内にはキャリア3社からMVNOへ貸し出す回線使用料の値下げが予定されているということであり、これに伴ってMVNOの料金も下がることが期待されます。この場合一番危惧されるのは、総務省の官僚が回線使用料のコスト算定基準を大甘にすることです。コスト算定基準と各社の算定データは、外部機関に検証させる必要があります。これにより回線使用料が下がればMVNOは今よりもかなり安い魅力的な料金を提供できるはずで、キャリア3社からの乗り換えが進むと考えられます。現在MVNOを格安携帯と言っていますが、これが安かろう、悪かろうと言う印象を与え、使用を躊躇させている部分もあると考えられます。従って、格安携帯という名称をエコノミー携帯に変えたらよいと思います。そして今のキャリア3社の携帯はセレブ携帯とします。セレブはセレブ携帯を使えばよいし、そうでない人はエコノミー携帯を使えばよいのです。今はセレブでもないのに、セレブ携帯を使う人が多過ぎます。