地方人事委員会のいかさま賞与勧告、恥ずかしくない?

現在都道府県および政令市などの人事委員会が今年の年間賞与を勧告しています。殆どが前年比0.05カ月減で、支給月は少しばらつきがありますが、概ね4.45カ月前後です。

これはズバリいかさま勧告です。それは、各自治体の経済状況が異なることから、0.05カ月減と言う一致した数字になるはずがないからです。各人事委員会は、(1)民間の昨年冬の賞与と今年夏の賞与、または(2)今年夏の賞与と冬の賞与の見込み、と昨年の公務員賞与を比較して算出したと言っています。しかし、各人事委員会は地元の企業を抽出して調査しており、コロナの影響は各地で異なることから、大きなバラツキが出ると考えられます。また(1)については、コロナの影響は夏のボーナスから出ており、民間では大幅な減額となっています。従って、(1)によっても0.05カ月(約1%)の減少と言う数字は出てきません。(2)に依ったなら、民間の減額幅は1カ月単位であり、0.05カ月という数字は決して出てきません。それはANAがこの冬の賞与を0、JR西日本が1.5カ月としたことでも分かります。民間は1~3カ月減が大部分です。従って、(2)によって算出したら、1、2カ月の減額という勧告になるはずです。

また人事院の勧告を参考にしたという説明もありますが、人事院は昨年の民間の賞与支給実績に依ったと説明しています。算定の根拠が違うのです。昨年の実績を比較したら人事院勧告のような数字(0.05カ月減、4.45カ月)が出てもおかしくありません。しかしこれは誰が考えても誤魔化しです。今年の賞与支給額は、今年の民間の支給予想に基づき算定するものです。これをやると大幅な減額支給になることから、昨年の支給実績に依ったものと考えられます。もし人事院が来年の賞与支給額の算定についても同じ方法を取るというのなら理解できます。その場合、来年は民間の賞与支給額が回復しても公務員は今年の民間の支給額ベースになりますから、大幅減となります。こんなことするわけないので、来年はまた算定基準を変更し、来年の民間の支給額に近づくような方法を採用すると考えらえます。

このように地方人事委員会が援用する人事院の勧告がいかさまだから、地方人事委員会の勧告もいかさまになるのは当たり前です。

地方人事委員会がそれぞれの基準で正しい算定をしたら、算定結果が大きくばらつくはずです。それを0.05カ月減という数字に統一するためには、調査対象企業を取捨選択した、または回答があった調査対象企業の支給月を恣意的に採用した、ことが考えれます。これにより0.05カ月減になるよう担当者はすさまじい努力をしたと思われます。多くの人事委員会職員が大卒で、それ相当の年齢になっていると思いますが、そのような人が努力を注入する仕事ではありません。これは虚偽の資料を作成し、虚偽の勧告を行い、その結果誤った賞与を支給させ、自治体に損害を与えているので、詐欺罪が成立すると思われます。このように各人事委員会がやっている行為は恥ずべき行為であり、見直しが求められます。

そもそも地方公務員の賞与を決めるに当たって最も考慮すべきは、その地方自治体の税収です。民間の賞与支給状況以前に税収を考慮する必要があります。今回の賞与支給額の決定に当たっても先ずは各自治体の今年の税収を考える必要があったのです。それも公務員賞与の原資となるのは、所得税や法人税です(消費税やその他の目的税は除かれます)。コロナの影響を考えると、各自治体の税収は10%以上落ち込み、それも各自治体でバラツキが大きいと考えられます。従って、各自治体の公務員賞与の支給額も大きくバラツクことになります。税収は民間の経済状況に連動するので、公務員の賞与の支給額も民間と連動することになります。従って民間の賞与の支給額は参考程度になります。

税収を考慮せずに賞与(給与も)を決められるのなら、民間企業においても儲かっていない企業でも儲かっている企業と同じ賞与を出せということになります。民間企業の場合その原資は銀行借り入れとなり、銀行が貸しませんから実現しません。公務員の場合、地方交付税も減るはずなので、地方債を発行して資金を調達する、または他の住民サービスを削減して公務員賞与に充てることになるものと思われます。こんなことしてたら自治体が持たないことは誰でも分かると思います。

先ずは公務員の賞与は税収と連動させることを明確にすべきだと思われます。