大阪都構想住民投票、公明党はパンドラの箱を開けたかも

今回の大阪都構想住民投票で私が注目したのは、都構想を支持した公明党支持者の半数程度しか賛成の投票をしなかったと思われることです。そしてこれが否決を決定付けたと思われます。これについて橋本弁護士がテレビで、「公明党はうまく立ち回った」と言っていました。公明党が大阪都構想を支持したおかげで大阪維新の会(日本維新の会。以下維新)は住民投票には漕ぎ着けたわけですから、公明党は維新との約束は果たしていますし、否決されたわけですから、反対した大阪の自民党へも顔向けできます。穿った見方をしたら、これは最初からのシナリオだったのかも知れません。しかし、公明党支持者は鉄の統制が特色でしたから、今回賛否が割れたことが個人の自由な判断に委ねられた結果であるとすれば、今後国政選挙で公明党の得票に大きな影響が出て来ると考えられます。

公明党支持者は創価学会員が大部分であり、学会員なら選挙の投票は必ず公明党で、かつ財政面での貢献(寄付)も求められると言われていますが、これに不満を持つ学会員は増えていたと思われます。2019年の参議院選挙比例区で公明党の得票数が約650万票と、前回より100万票以上減少したことがこれを表しています。自民党と連立を組んでから公明党は自民党の政策をほぼ丸のみであり、創価学会の姿勢も疑われる状態になっています。普通なら学会員の間では連立を解消すべきという声が支配的になっていてもおかしくないと思われます。この不満が投票行動になって表れたのが昨年の参議院選挙比例区の得票減少だったのではないでしょうか。しかし昨年の参議院選挙比例区で公明党に投票しない行動は、学会の指示に従わずこっそり採った行動であり、後日学会から締め付けがあったと思われます。

今回の大阪都構想の住民投票では、学会から会員に賛成の投票するようにとの指示はなかったと考えられます。これにより賛否の判断が会員個人に委ねられ、個人の判断で投票したと思われます。多分会員が選挙において自分の判断で投票したのは初めてであり、投票を自分の意思で行う喜びを知ったのではないでしょうか。これにより会員の間では今後の選挙で、学会からの指示に従わず自分の判断で投票する人が増えると予想されます。公明党は今回の大阪都構想の選挙では上手く立ち回ったかも知れませんが、パンドラの箱を開けてしまったかも知れません。